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2010年2月27日土曜日

28日・「スポーツ後進国に成り下がった日本か?」-バンクーバー五輪総括ー

  2010年バンクーバー五輪大会は今日28日(日本時間3月1日)閉会式を迎える。17日間に及ぶ大会であった。日本勢はもうひとつ振るわなかったが、最終日女子パシュート競技(団体追い抜き戦)で100分の2秒差で惜しくも銀メダルに終わったものの、女子スピード競技で初めて銀メダルを獲得する快挙で有終の美を飾ってくれた。日本の冬季五輪の歴史に残ることであろう!初めて知ったのだが、この競技に出場した2人の選手をある地方のごく小さい会社がサポートしてくれていたことを、そして不況で苦しい中を社長が自分の収入をやり繰りして支え続けてきたことも、これこそ美談というべきことだろう!

トリノ五輪のフィギュア―荒川静香選手の光り輝く金メダル1つに比べれば、銀3、銅2つ計5個は、トリノよりマシだが、このうち銀1、銅1はスピードスケート男子500mの長島・加藤選手が獲得したものであり、この陰には日本電産SANKYOの永守会長初め会社挙げての支援体制に負うところが大きい。
 

 わが国の実業団スポーツは、世界同時不況の影響をうけ、廃部が相ついでいるし、将来的にも展望が開けない状況下にある。いまのわが国のスポーツ界は、マイナー競技であるが、人気急上昇中のカーリング競技に見られるように選手の国際経験に乏しく、そのため競り合いになった場合に経験の差が勝敗にでてくる。カーリング女子決勝戦を戦ったカナダとスエ―デンのスキッパーを務めた選手の年齢はともに43歳ということであり、ママさん選手としてスポーツ競技に打ち込める環境がスポーツ先進国の現実の姿なんだろう!これと比べたとき、日本の国のスポーツをする環境や選手層のいずれも後進国と言わざるを得ない。これが、今回の大会の総括である。

それでは一体誰が支えるのか?
 
 
 すぐお隣の韓国(14個=金6、銀6、銅2・世界第5位)にすら、大きく水をあけられている。国威発揚、民族高揚に極めて熱心な韓国国家と国民の民意は分からないでもないが、日本の人口は韓国の2.65倍、GDPは韓国の5.73倍という経済大国であるわが国であるが、スポーツの世界にあっては、清水宏保氏(元スピードスケート選手冬季五輪通算・金.銀.銅メダリスト)が指摘するように後進国といわれても仕方があるまい。
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※(韓国のGDP、世界12位 )                                 
韓国の経済規は世界12位。 韓国銀行(韓銀)が世界銀行の「世界開発指数2007」資料を基礎に整理した統計によると、2005年基準の韓国の名目国内総生産(GDP)は7913億ドルと、比較対象184カ国のうち12位となった。

GDP世界順位は1位・米国(12兆4165億ドル)、2位・日本(4兆5340億ドル)、3位・ドイツ(2兆7949億ドル)、4位・中国(2兆2343億ドル)、5位・英国(2兆1266億ドル)など。

 韓国のGDP規模を100とした場合、米国は1569、日本は573、中国は282、欧州連合(EU)は1171。

  一方、韓国の1人当たりの名目国民総所得(GNI)は1万5840ドルと、比較対象208カ国のうち49位となり、04年の50位から一つ順位が上がった。

1人当たりのGNI世界1位はルクセンブルク(6万5881ドル・推定値)、2位ノルウェー(6万890ドル)、3位スイス(5万5320ドル)で、 米国は7位(4万3560ドル)、日本は12位(3万8950ドル)だった。

その韓国が、冬季五輪の歴代メダル数で日本と中国を追い抜く!
 
 バンクーバー冬季五輪第9日の21日(日本時間)、ショートトラック男子1000m、女子1500mの決勝が行われた。韓国代表選手は、男子1000mで李政洙がオリンピック新記録で金、李昊錫が銀を獲得。女子1500mでは李ウンビョルが銀、朴勝羲が銅となり、合計4個のメダルを獲得した。
26日フィギュア―スケート競技でキム・ヨナが圧倒的な強さで金メダルを獲得した。
 
 これにより、28日現在で韓国は金6、銀6.銅2の合計メダル数が14となり、国別のメダル獲得数順位では総合5位となっている。また、歴代の冬季オリンピックで獲得したメダル数の合計が、アジアの参加国の中では、最初に40個を突破した。韓国の多くのメディアは「歴代最多メダルに挑戦状」「日本(歴代メダル獲得数35)と中国(歴代メダル獲得数38)を追い抜いた」と、この話題を大きく伝えた。
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 この数字は07年のものだが、1人当たりの国民所得で見ると、日本は韓国の2.46倍ということになる。 さすれば、日本の五輪大会のメダル数は金がなくメダル数は韓国の3分の1というのは、ちょっと寂しすぎはしませんか?

 スポーツの振興は文化水準に比例するといわれるが、五輪大会のメダル獲得は国民に元気と勇気を与え、国民に国家への信頼感、民族の団結心をもたらす。これを引き延ばせば医療費より病気の予防が大事だが、このスポーツ振興は健康志向にも結び付くと思う。医療費より病気予防費に使う方が大事だ。











(左)ドイツ国旗 (中)ロシア国旗 (右)バンクーバー五輪「金」メダル

 同じことが大国ロシアでもおこっている。冬季競技を得意とするロシアにあっても、成績が凋落の一途をたどっている。次の冬季五輪大会はロシアのソチで開催と、すでに決まっていて4年後の大会はロシアが主催することになる。この凋落に歯止めをかけようと、プーチン首相はスポーツ担当大臣の更迭に踏み切る姿勢を示している。

 27日の朝日新聞によると「冬季スポーツ大国のロシア」がバンクーバー冬季五輪で不振を極めている。大会15日目で金メダルは3個。かつて米国やドイツと首位争いを繰り広げた面影はなく、プーチン首相が異例の「原因分析」を指示したほか、担当大臣の進退問題にまで発展している。
 
「ロシアの五輪は終わった」。24日、男子アイスホッケーでカナダに3対7でまさかの惨敗。ロシアは衝撃に包まれた。今大会、思うようにメダルが取れないロシアにとって、残り少ない「メダル確実」の競技だっただけに、ブイコフ監督は「赤の広場でギロチンか絞首台にでもかけてください」とうなだれた。

 1964年のインスブルック大会以来金メダルを取り続けてきたお家芸のペアフィギュアスケートでも金を逃した。4年後の「ソチ冬季五輪のために選手を温存しているのでは」というやけっぱちな憶測が流れるほどだった。

 プーチン首相は25日、新しい柔道施設の開所式で「ロシア選手団にはもっと多くを期待していた。真剣な分析と結論が必要だ。ソチ五輪に向けてあらゆる環境を整えなければならない」と語った。
ソ連時代は夏季、冬季を問わず金メダル数で常に1位か2位を争っていたが、02年ごろから陰りが見え始めた

 ソ連に大量のメダルをもたらしていたのは、1930年代に創設された体育教育システムだった。6歳から専門のスポーツ教育が受けられる学校が全国に約4千あり、数百万人が学んでいた。その中から才能を見いだされた者は上級の専門学校へ進み、さらに鍛えられた。

 ソ連崩壊と共にこうした施設への予算は消滅。施設を維持できなくなった学校は廃止され、残った学校も多くは「おけいこごと」のスポーツ教室にレベルが落ちた。スケートリンクや運動場はショッピングセ秀な指導者も国外に流出。フィギュアスケートの浅田真央選手を指導するタチアナ・タラソワ氏もソ連崩壊後、米国に拠点を移した一人だ。

 五輪に臨む姿勢も変化した。ソ連時代は愛国教育が徹底し、「必ず金メダルを国に持ち帰る」という強い思いが選手にあった。好成績を残せば、住宅が与えられ、一般国民には手の届かない海外旅行もできる特権も手に入った。だが、「今の選手は食事や服装の文句ばかり」と元フィギュア金メダリストのイリーナ・ロドニナ氏は嘆く。

 スポーツ観光青年省のムトコ大臣は「選手の専門養成所の再建が必要だ」と述べたが、グリズロフ下院議長は「メダル総数が4位以下だった場合は、責任を取ってもらう」とムトコ氏の更迭を求める考えを明らかにした。

 このようにメダル獲得数の凋落ぶりを嘆くロシアであるがロシアの人口は1億4100万人、日本の人口とロシアのそれを比較するとき日本はロシアの0.9倍、ドイツは人口8200万人の国であるから日本が1.55倍と人口では大きくドイツを上回っている。今回のドイツのメダルは金10、銀11、銅7個計28個であるから、わが国やロシアとは比べ物にならない。

















(右)プーチン首相 (左)冬季五輪ロシア成績推移 (中央)説明は下の通り。
バンクーバー冬季五輪で24日アイスホッケー男子カナダ戦に敗れた瞬間を見つめるロシアの控え選手ら(上)
フィギュア男子で銀メダルに終わったプルシェンコ(ロシア)。右は金メダルのライサチェク(米国(下)
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 これに対して、我が国の今回バンクーバー大会に臨む姿勢はというと、〇〇新聞には次のようにあった。

清水宏保氏が告発したスポーツ後進国日本の実情
 
 なぜ、日本選手はメダルを取れないのか――。国民の不満が募る中、23日の朝日新聞(夕刊)に掲載された、あるコラムが注目されている。

 タイトルは「スポーツ後進国 日本」。筆者は、スピードスケートの清水宏保氏である。驚いたのは、その内容だ。国のスポーツ行政やJOCの体質を批判する厳しいものだった。

【日本には国立スポーツ科学センターがある。韓国にも同じような施設がある。韓国ではそこに選手が集められ、招集された時点で、日当が出る。日本では利用するのに料金が発生する】

【バンクーバー五輪では、JOCの役員、メンバーが大挙して現地入りしている。予算は限られている。そのため、選手を手塩にかけて育てたコーチや、トレーナーがはじき出され、選手に快適な環境を提供できていない。お金の使い方が逆だろう】

 清水宏保氏といえば、前回のトリノまで4大会連続で冬季五輪に出場。金、銀、銅を獲得した日本を代表するメダリストだ。JOCにも世話になり、しがらみもあるだろう。“内部告発”に至ったのは、国やJOCのあり方が、よほど腹に据えかねていたに違いない。

 事実、日本のスポーツ行政は腐っている
 バンクーバー五輪の日本選手団205人のうち、純粋な選手は94人だけ。残りはコーチや医師、JOCの役員やスタッフだ。役員の中には、目立った仕事は“腰パン”国母の説教役だけという橋本聖子団長をはじめ、物見遊山気分で訪れている“役立たず”も多い。

●選手強化費をかすめ取る怪しい団体
 冬季、夏季を問わず、選手の強化対策もお寒い限りだ。北京五輪までの1年間に日本が国庫負担で賄った選手強化費は、27億円に過ぎない。274億円のドイツの10分の1。米国165億円、英国120億円、中国120億円、オーストラリア110億円、韓国106億円などと比べても、極めて低い。

「強化費の分配方法も、デタラメです。国からJOCに渡り、JOCの差配で、個人やチームにではなく、所属する競技団体に支給される。その差配には、各競技団体のトップにおさまる国会議員の政治力が、モノをいうのです」(スポーツジャーナリスト・谷口源太郎氏)

 各競技団体が強化費を何にいくら使っているのかも不透明だ。トリノ五輪後には、日本スケート連盟の元会長が裏金をつくり、私的流用していた事件が発覚した。わずかな予算に得体の知れない連中が群がり、中間搾取して選手の手元に渡る頃には“すずめの涙”。長期化する不況のあおりでスポンサー企業も激減だ。そのため、オフにはバイトに励み、自己負担で国際大会に出場している五輪選手も少なくない。

 韓国では国のほか、各財閥が後ろ盾となって、選手個人を金銭面でサポートしている。金メダルを取れば賞金のほか、終身で毎月100万ウォン(約8万円)を支給し、男子メダリストは兵役免除など“ニンジン”も充実している。日本のデタラメ政策とは雲泥の差。メダル獲得数で3倍以上の差がつくのも当然だ。

 石原慎太郎都知事は先週、日本勢の不振について「国家という重いものを背負っていないから、結局、高く跳べない。速く走れない」と語っていたが、大失敗に終わった東京五輪招致費用の税金100億円が霧になって消え、このお金が選手個人に渡っていれば、もっと違った成績となっていたはずだ。

カネは出さずに口を出す愚かな政治
「結局、スポーツ行政には各国の文化水準の差が出るのです。スポーツが文化として溶け込んでいる欧米では、選手強化費用に巨額の税金をつぎ込んでも、日本のように国民から文句は出ません。国民の間でスポーツ文化に対する肥沃(ひよく)な土壌が醸成されており、トップ選手を育てるピラミッド型のシステムが完成しています。日本は痩(や)せた土壌から、たまたま才能の芽が出てくるのを待っているだけ。芽が開花しても、次の芽を育てようともしない。理念や戦略が欠如しているのです」(前出の谷口源太郎氏)
 
前出の清水選手は【五輪の時だけ盛り上がって、終わったら全く関心がないというのではあまりに悲しい】とコラムを締めくくっていた

 こうした問題に目を背け、五輪を商売道具としか考えていない大マスコミ、スポーツジャーナリズムの責任も重い。

 それに踊らされる国民も甘すぎる。ましてや石原のような“カネを出さずに口だけ出す”という輩の云いたい放題の存在を許しているようでは、メダルの数が増えるはずがない。









(上)大韓民国国旗
(右)「韓国の女王」一躍ときの人・キム・ヨナ

2 件のコメント:

  1. しげやん^^
    日本は弱くなったかい??
    何もかも満たされると弱くなるのでしょうか?
    でもこれからも頑張ってほしいです!
                atiti

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  2. RE: atitiさん
    日本やロシアの歴代冬季五輪メダル獲得数の表をクリックする
    と拡大しますから、よく見れば分かる通りどちらもジリ貧です
    日本98年長野五輪が最高で金5・銀1・銅4の計10個が最高
    です。このときは国を挙げて頑張っても10個でした。

    今回のバンクーバー冬季五輪で人口が3分1のお隣の韓国は
    金6・銀6・銅2の14個(日本金0.銀3.銅2計5個)でしたし、
    人口8200万人のドイツが金10・銀13・銅7と計30個で世界で
    2位でした。日本と比べ物にならないくらいメダルを獲得して
    います。

    韓国は国威発揚で国を挙げてのメダル獲得に必死でしたが、
    日本は過去会社の実業団活動に頼ってきましたが、業績不振で
    実業団を廃部した会社も多くなり、さりとて国の支援も不十分
    ですから、抜本策を講じない限り将来とも先が明るいとはいえ
    ません。国を挙げての大会だけに少々寂しい思いがします。
    民主党になっても例の「事業仕分け」とやらで、スポーツ振興
    は削られこそすれ、増やすことは期待できません。寂しいです!

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