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2013年9月26日木曜日

開館31年(和歌山県立自然博物館)入館者300万人達成す!

ありがとう!300万人
平成25年9月14日、当館の開館以来の入館者数が300万人に達しました!
記念すべき300万人目は紀の川市からお越しの南伊吹くん(5歳)でした。
これからも皆様に親しまれる自然博物館としてがんばりますので、よろしくお願いいたします!
(県立自然博物館一同)

 

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写真・図版

300万人目の入館者になった南さん親子=海南市船尾の県立自然博物館

海南市船尾の県立自然博物館の入館者がこのほど、300万人を突破した。開館した1982年7月27日から31年目での達成となった。
同館は、約550種6千点の水にすむ生き物と、約2千点の化石や貝、昆虫などの標本を展示している。入館者数は、開館した82年度の21万6120人をピークに、98年度には過去最低の6万959人に落ち込んだ。その後、親子で参加できるイベントを増やしたことなどで増加傾向に転じ、昨年度は12万3569人だった。

300万人目の入館者になったのは紀の川市から訪れた南伊吹君(5)、妹のまどかちゃん(2)と母の明子さん(33)の3人。300万人達成を祝うくす玉を割り、西下博通・県教育長からは300万人目の入館者認定証やぬいぐるみなどが贈られた。

明子さんは「びっくりしましたが、いい思い出になりました」と喜んだ。伊吹君は、海の動物に触れることができるタッチプールでウニなどを触るのが大好き。入館が無料になる招待券10枚をもらい、「次はパパと来たい」と話した。

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苦節31年、この間関係者による地道でしかも涙ぐましい努力の積み重ねがこの数字を生んだ。
一寸古いが、かつて和歌山県知事が語った自然博物館の楽屋裏の苦労の裏話の一端を、ここに紹介しておこう! 

県庁 仕事百景

職員の頑張りやエピソード、苦労話を通じて県の様々な仕事を紹介します。

「年間入館者数10万人の大台突破を実現」(和歌山県立自然博物館)

和歌山県知事 仁坂 吉伸
万葉の時代からの景勝地として知られる和歌浦の南、和歌浦湾の最奥部に位置する和歌山県立自然博物館は、昭和54年、国際児童年の記念事業として計画立案され、和歌山の自然を紹介する施設として昭和57年7月に開館しました。
 

 開館当時は、全国でも初めて水族館を併設した自然系博物館として注目を浴び、毎年10万人前後の入館者数を数えていましたが、「自然」に対する関心の高まりから、内容の充実した自然系博物館が全国各地で相次いで開館し、また水族館においても新しい展示手法を備えた大規模館が近隣府県に次々と設立された結果、平成6年度から入館者数が大幅に減少し、平成10年度にはついに6万人にまで落ち込んでしまいました。
 

 そこで、危機感を持った自然博物館では平成13年度に、より多くの方々にご利用いただくため展示の充実と広報活動に力を注ぐプロジェクトチーム・広報展示班を発足させました。
 しかし、それまでは漫然とした広報活動を続けていたため発足当初は手探り状態が続き、情報を発信してもなかなか取り上げてはもらえず、すぐに入館者数の増加には結びつきませんでした。そんな状況が続く中でも広報展示班は経費をかけず地道に工夫を重ね、展示効果のある生きものを集め展示し、きめ細やかな広報を何度も繰り返し継続することによって、徐々にではありましたが報道機関の注目を集めるようになり、今では頻繁に新聞、テレビ・ラジオ等に取り上げられるようになりました。
 

 その結果、右肩上がりの回復を遂げついには開館から24年目の平成18年度、入館者数が14年ぶりに10万人を突破しました。また、開館からの総入館者数も225万人を超えるほど、多くの県民の皆様にご利用いただいています。
 山・川・海と豊かな自然に恵まれた和歌山をより多くの人々に理解していただくと同時に、子ども達が郷土和歌山の自然を愛する心を育み、この自然を貴重な財産として後世に伝えることの大切さを、常に訴え努力してきた成果が現れたものと、ご利用いただいた数多くの県民の皆さんに感謝しています。
 

 設立の趣旨からも、子どもが楽しめる博物館を目指している同館では、平成16年4月から、児童・生徒が身近な文化施設として気軽に来館し、郷土の自然にふれ、豊かな感性と知識を育んでもらえればと高校生以下の入館料を無料としています。
 そして、今回さらに子ども達が楽しみながら県内の自然に親しめるようにと、同館プロジェクトチーム・広報展示班が「自然博物館カード」を製作しました。広報展示班は、積極的に「打って出る」広報を目指し、平成13年度から総務課と学芸課が連携し組織横断型チームを編成、展示のマンネリ化を阻止するため、極力頻繁に展示更新をしながらタイムリーにトピックス的な展示を心がけ、それらの広報をきめ細かく積極的に推進しています。
 

 「自然博物館カード」製作にあたっては、専門知識を有する学芸員が県内の身近な生物や化石を解説し、総務課職員がキャッチコピーの考案からトータルデザインまでを担当しました。
 「子ども達が喜ぶ物を作ることは当然だが、大人も興味を抱き、欲しくなるようなカードを目指そう」と方針を決め取り組んだ編集会議では、より専門性を伝えることを重視する学芸員と、わかりやすさやおもしろさ、ゲーム性などを盛り込みたいと考える総務課職員との間で意見の食い違いが見られました。
 

 また、学芸員それぞれの専門分野も異なり、魚類、は虫類、植物、化石など、それぞれの学芸員の専門分野からカード化するものを選択することにも時間をかけて話しあう中で、最後まで、は虫類の「ニホンマムシ」をカード化すべきか議論が白熱しました。しかし、身近な生物でありあえてカード化し解説することにより、正しい知識を伝えようということになりました。
 時間をかけ意見を交わしていく中で、独特の専門用語を使用する学芸員の原稿を、誰でもわかるやさしい表現に変換する総務課職員との共同作業も確立し、お互いに歩み寄りました。また、ただ単に解説文を掲載するのではなく、Q&A方式で解説文を読めば疑問を解決できる内容にすることも、何度も繰り返した編集会議の中から出たアイデアです。一見して子ども達の心をつかむためのデザインやキャッチコピーを考案することにも相当の時間を費やしましたが、専門的な知識も盛り込みつつ楽しくためになる内容へとまとまり、徐々に完成に近づいていったのです。
 

 また、実物を館内で見ることができるという点も意識し、ほぼ常時展示している生物や化石を選びカード化しました。カードは全18種類(魚類6種、ヒトデ類1種、は虫類1種、植物5種、化石5種)で、それぞれ専門の学芸員のユニークな解説と、スタッフ自らが撮影した美しい画像で構成されています。カードを手にすることで、県内に生息する身近な生物や化石に興味を抱く内容となっています。
 このカードを、春休み期間中に高校生以下の子ども達に配布したところ、大変好評で頻繁に利用してくれるリピーターの子ども達も増え、カードを配布することでスタッフと子ども達とのコミュニケーションが高まり、距離も縮まり、自然博物館のファンが拡大しています。また、「全18種、すべてを集めたい」と収集意欲をかき立てる内容でもあり、大人も含め多くの方からお問い合わせもいただいております。
 

 そして、多くの方からのお問い合わせに応えようと、ゴールデンウィーク期間中も子ども達にカードを配布したところ、テレビ・ラジオ・新聞等各報道機関に大きく取り上げられ、近畿圏のみならず遠くは東京都からも「カードが欲しい。夏休みに行きます」というメッセージや、「カード配布の報道を見ました。素晴らしいアイデア」という、お褒めのお便りも届き広報展示班スタッフ一同「努力の甲斐があった」と大変喜んでおります。
 さらに、初の「県民の友」とのコラボレーション企画として、「県民の友6月号」にカードの引換券を印刷し、6月中に引換券を持参し入館した先着2,000名の方々に配布することとしました。
 「自然博物館カード」を受け取った子ども達からも、新たなシリーズ製作のリクエストがきていることから、今後もカードの種類数を増やすとともに新たな企画を打ち出していこうと、自然博物館内プロジェクトチーム・広報展示班は日夜知恵を絞っていますので、今後も県民の皆様をあっと言わせるような奇抜なアイデアが飛び出すことにご期待下さい。さらに多くの県民の皆様のご利用をお待ちしています。とりわけよい子の皆さん、自然博物館を訪ねて学芸員のお兄さん達からいろいろ教えてもらって、勉強しながら和歌山の豊かな自然を楽しんで下さい。
 

 最後に、一つだけこの自然博物館の悩みをお話しします。私の常識だと、博物館というのは展示しているものが「1」とすると、その数倍のスペースで標本や文献が保存されているものです。ところが、この自然博物館は、そのスペースが全くもって狭いということを最近知り、愕然としました。学芸員達が、子ども達にいろいろなことを教えられるのも、展示スペースの裏で調査、研究しているからなのです。もう少し何か対策を講じないと、博物館たり得なくなるのではと心配しています。県民の皆様もこのことをご理解下さいますようお願いします。



人気の自然博物館カードプロジェクトチームの職員
(人気の自然博物館カード)(プロジェクトチームの職員)