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2016年2月29日月曜日

「紀州海南ひなめぐり」スペシャル画像版・2.29

紀州海南ひなめぐり 本日「毎日新聞・地方版」掲載の「ひなめぐり」スペシャル記事をそっくりお借りしてきました。みなさんがたもご一緒に愉しまれませんか!
 

華やか、春運ぶ3000体 商店街や観光施設などに /和歌山

 

駅の乗降客を1000体もの人形が出迎える=和歌山・JR海南駅で、稲生陽撮影


華やかなつるしびなが立体的な美しさを演出する=和歌山県海南市船尾の温山荘園で、稲生陽撮影

 桃の節句(3月3日)を前に、海南市中心部の商店街や各観光施設が一斉にひな人形を飾る「紀州海南ひなめぐり」が始まり、県内外から観光客が訪れている。人形供養やひな流しで知られる淡嶋神社(和歌山市)の協力も得て145カ所に計3000体以上を飾っており、町中が春らしい華やかな雰囲気に染まっている。3月15日まで。
     黒江塗による「紀州雛びな」の産地でもある海南を盛り上げようと、商店街の閑散期の2〜3月に合わせて商店主らでつくる実行委が2011年から続けている。淡嶋神社から借りた人形のほか、一般の民家で眠っている古い人形を譲り受けるなどして年々増やしてきた。
    一口にひな人形と言っても意匠や表情、雰囲気はさまざま=和歌山県海南市船尾の温山荘園で、稲生陽撮影

     商店街の店頭では、革のバッグや眼鏡などそれぞれの商品のミニチュアで着飾ったコミカルなひな人形も。実行委の東美智委員長(60)は「町中でこんなに多くの人形が一斉に飾られるのは珍しいのではないか」と話している。【稲生陽】
    海南駅前の一番街商店街にはコミカルな雰囲気の人形も並ぶ=和歌山県海南市名高で、稲生陽撮影

    以上

    2016年2月26日金曜日

    第6回「紀州海南ひなめぐり」・「ひなみ館」「かいぶつくん」

    JR海南駅西に隣接する一番街の「飾りヒナ」のメイン会場

    ひなみ館(1.2号館)海南はお雛様一色ですface02

    一番街商店街には ひなみ館1号館と2号館がありますik_49

    それぞれお店の中いっぱいにお雛様が飾られておりますik_49

    ・ひなみ館1号館の180年前のお雛様face05









    ・ひなみ館2号館








    色々と貴重なお雛様や、可愛いお雛様がお迎えしてくれます!

     ・かいぶつくん(JR 海南駅コンコース)
     
     



     第6回紀州海南ひなめぐり(2/15~3/15)

     
                                                                                                                                      以上

    2016年2月21日日曜日

    ・ 「漆器の町・黒江のおひなさま」 +「和歌山マリーナシティー」の「おひなさま」!

    黒江のおひなさま」 

    銘酒「黒牛」の酒蔵を模した風情ある建物に飾られた
    黒牛茶屋さんのおひなさま

    毎年、心のこもった手作りの数々が素敵です
    こちらでは酒樽を利用した椅子等で休憩ができます。

    地酒、酒粕、奈良漬、酒造の際使用した酒袋を利用したバッグ等



     

           ・  「うるわし館」のおひなさま



    漆器伝統産業会館 「うるわし館」

    ここは、伝統の紀州漆器の伝統産業会館だけあって「おひなさま」と春めいた漆器
    ウェアー(食器)のコラボが楽しめます!

    ミステリーツアーが人気のようです。
    テーブルコーディネートも春*おひなさまかわいいですよ~(*^_^*)







     「漆器の町・黒江」から約1.5Km、ここは和歌山市になりますが「和歌山マリーナシティー」があたらしく企画に参加しました。全国有数のリゾートスポットで、なかでも「黒潮市場」の「マグロの解体ショー」が呼び物です。

    マリーナシティーのおひな様♬



    和歌山マリーナシティー(パインズホテル)にもおひなさまが

    正面入り口でお客様をお迎えしています。

    たくさんの方に愛でてもらえ嬉しそうなおひなさま!



    黒潮市場入口にもマグロと一緒のおひなさま

    イルカさんにも癒されます(*^_^*)

              ポルトヨーロッパ 3月19日から入園料が無料になるそうです

     

    2016年2月18日木曜日

    「紀州海南ひなめぐり」水槽内に石雛新登場

    今年もひなめぐりの季節到来です。海南市の春の風物詩となった「紀州海南ひなめぐり」。趣向を凝らし、年々パワーアップする街のひなめぐりを紹介します。

    写真=温山荘園で飾る実行委メンバー 同下=石雛


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    おひなさまを見ながらまちめぐりを楽しむ恒例の「紀州海南ひなめぐり」が2月15日(月)~3月15日(火)、海南市内各所で開かれる。
     
     6回目の今年は県立自然博物館(同市船尾)の水槽内に石雛(いしびな)が初登場。JR海南駅から藤白神社までの熊野街道沿いにも石雛と紙雛を初めて飾る。
     市民有志が2011年に始めたイベント。例年同様、市の玄関口、海南駅構内に巨大ひな壇を設け、約1000体を並べる。駅前商店街の各店ではショーウインドウなど道路から見えるところに展示。漆器の街、黒江の川端通りの漆器店ほかにも飾る。

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    自然博物館では昨年に続いて7段飾りが、ガラス幅15㍍ある大水槽「黒潮の海」前に登場。加えて、「イセエビのかくれ家」と題した水槽内に、海南高校生らが描いた石雛を展示する。小阪晃学芸課長は「大水槽前のおひなさまは昨年も女の子連れのお母さんらに好評でした。イセエビは昼間、あまり動かず目立ちませんので、おひなさまをきっかけに注目してもらえれば」。
     海南駅と、会場の1つ、藤白神社を結ぶ熊野街道沿いは石雛のほか、民家の軒下などに紙雛をつるす。
     昨年会場に加わった温山荘園は、太平洋戦争後まで飾られていた御殿雛をはじめ、華やかな段飾りが並び、国の重要文化財に指定されている建物内を彩る。
     このほか、熊野古道沿いの街道沿いや大野中の「春日神社」では、地元の大野っ子らが石に「ヒナ」の絵を描き境内や参道に飾るなど新しい試みもみられるなど
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    ひなめぐりに向けて石雛づくり「海南市・春日神社」2016-02-15
     今月15日から始まる、「紀州海南ひなめぐり」に向け、今日、海南市の春日神社で石にひな人形の絵を描く「石雛作り」が行われました。
     この石雛作りは海南市大野地区の2団体で組織する「大野っ子」が企画したもので、小学生や保護者などおよそ30人が石にお内裏様やお雛様の絵を描いて石雛を作りました。
    海南市では平成23年から、3月3日の桃の節句にあわせて街を雛人形で一杯にして観光客に散策してもらおうという「紀州海南ひなめぐり」を続けています。
    今年のひなめぐりは明後日から始まり、今日、子どもたちは自由な発想で思い思いに色をつけて石雛を仕上げました。 子どもたちが作った石雛は社殿に飾られます。
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    、市内の主な公民館など展示場所は多彩。東美智実行委員長は「海南の人に地元の魅力を再発見してほしいと始めた催しが年々大きくなり、市外、県外からも多くの方が見に来てくださいます。今年も海南の宝の1つである温山荘園などでおひなさまに出合ってほしい」と願う。
     詳細は市物産観光センターや駅前商店街内のひなみ館に設置するパンフレットで。同センター(073・484・2326)。なお、ボランティアスタッフを募集中。

    2016年2月14日日曜日

    第6回「紀州海南ひなめぐり」2/15~3/15)JR海南駅ビッグひな壇完成!


    ビッグひな壇完成

    開幕まであと1日、メインの見所のひとつ

    海南駅の「ビッグひな壇」が完成!



    今回も多くの手をお借りして、作り上げることができました。

    素敵な出逢いに感謝☆ありがとうございます。

    一度ご覧になってくださいね。
     
    会場は
    ・JR海南駅1Fコンコース、同駅内「かいぶつくん」  
    ・1番街商店街
    ・漆器の町「黒江」各会場です。
     
    黒江ぬりもの館」の「飾りひな」


    順次ご紹介します。ご期待ください!

    2016年2月10日水曜日

    『真田十勇士』和歌山市ロケ 地元エキストラも出演

     いまNHK大河ドラマ「真田丸」で真田幸村親子が14年間の長きにわたって蟄居を命じられた「九度山」の地が観光客の人気が急上昇中であるが、紀州(和歌山)という地は戦国時代以降、豊臣秀吉・徳川家康公の間で「大坂」への要路として重要視されていたことが判る。というのも「和歌山城」の築城・歴代藩主の流れを見ていて、そのことがよくわかる。その一例として「和歌山城」の歴史をみれば、そのことがよくわかるというもの!

    紀州(和歌山城)の歴史について
    和歌山城は、天正13年(1585)に紀州を平定した羽柴(豊臣)秀吉が弟の秀長に築城させたのが始まりです。その築城を担当したのが、築城の名人藤堂高虎でした。
     その後、秀長の城代として桑山重晴が入り、慶長5年(1600)には関ヶ原の戦いで功をたてた浅野幸長が入城。そして、元和5年(1619)には徳川家康の第10男頼宣が入城し、紀州藩55万5千石の居城となり、以来、尾張・水戸と並び、徳川御三家のひとつとして長い歴史を刻んできました。
     明治となってから和歌山城は和歌山公園として公開され、昭和10年には天守閣が国宝に指定されました。
     その貴重な文化遺産は、昭和20年7月9日の戦災によりその英姿を一夜にして焼失してしまいましたが、市民の熱意と浄財によって昭和33年10月1日、天守閣は見事に再建されました。
     その後も一の橋・大手門の再建や御橋廊下の復元はじめ、整備が続けられています

    このように紀州(和歌山)という地は、「豊臣」「徳川」両藩にとって所縁が深いと云うことになります。

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    『真田十勇士』和歌山市ロケ 地元延べ約1500人エキストラも出演 !             

                 
                       
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       真田幸村に仕えたと伝わる10人の家臣を描いた映画『真田十勇士』の一部ロケが1月24日から2月上旬、和歌山市で行われた。加太で映画のクライマックスとなる大坂夏の陣、和歌山城では徳川家康が登場するシーンを撮影した。県民ら延べ約1500人のエキストラも協力した。
     
      『真田十勇士』は、戦国時代末期の十勇士の活躍を壮大に描くスペクタクル時代劇。監督は『劇場版SPEC』『20世紀少年』などを手がけた堤幸彦さんが務め、主人公の猿飛佐助を歌舞伎俳優の中村勘九郎、霧隠才蔵を俳優の松坂桃李、ヒロインの火垂(ほたる)を元AKB48で女優の大島優子が演じる。
     

    真田十勇士の紹介

      幸村と真田十勇士の伝説は、江戸時代より史実を参考に生まれた壮大な戦国物語です。
    大坂の陣での活躍により幸村の生き様はドラマチックに伝えられています。

    ・「個性あふれる家臣」たち

    ・猿飛佐助さるとびさすけ

    真田十勇士の中で最も人気のある甲賀流忍者
    狩りに来ていた幸村にその能力を買われ家臣となる。
    幸村が九度山にいる間諸国をまわり、旅をしながら仲間と出会っていく。

    ・霧隠才蔵きりがくれさいぞう

    伊賀流忍術の達人
    父は浅井長政の家臣。
    浅井家再興の軍事資金集めのため山賊となるが、仲間集めの旅をしている猿飛佐助と出会い、忍法比べで対決ののち仲間となる。

    ・海野六郎うんのろくろう

    仲間の活躍を陰で支える幸村の右腕的存在
    真田家の重臣であった海野氏出身の武士。
    十勇士の中では最古参。
    大坂夏の陣では徳川方に突入した先鋭部隊のひとり。

    ・穴山小助あなやまこすけ

    武田家家臣出身の武士
    武田家滅亡後父が小助を連れ戦場を渡り歩く浪人となり、幸村の郎党となる。
    幸村と共に九度山に落ち、大坂夏の陣で家康の本陣に切り込み壮絶な最後を遂げる。

    ・筧十蔵かけいじゅうぞう

    出身は諸説ある武士。種子島銃を扱い、射撃の腕は百発百中。
    鉄砲部隊を組織して狙撃など銃術戦を行う、十勇士の中では異色の存在。
    由利鎌之助と共に西国を旅して、情報を収集する。

    ・三好清海入道みよしせいかいにゅうどう

    真田十勇士の中で最年長の武士。
    三好伊三入道は弟。
    浪人時代に親戚である真田氏を頼り家臣に。僧侶の姿で重い鉄棒を振り回す豪傑。
    大坂夏の陣で弟と共に徳川父子を討とうとして失敗し、切腹する。

    ・三好伊三入道みよしいさにゅうどう

    兄が三好清海入道
    由利鎌之助と共に鈴鹿山中で山賊になっていたところ、兄である三好清海入道の誘いを受け、幸村の家臣に。
    大坂夏の陣で兄と共に徳川父子を討とうとして失敗し、切腹する。

    望月六郎もちづきろくろう

    忍術を使い、大筒や地雷火といった火薬武器の製造使用を得意とする甲賀流忍者
    九度山真田屋敷の留守居役として幸村の近くで生活したという設定も。
    大坂夏の陣で壮絶な最後を遂げる。

    ・由利鎌之助ゆりかまのすけ

    鈴鹿山中で山賊をしていた鎖鎌の達人
    伊三入道と共に幸村の家臣に。
    鎖鎌を振り回し敵をなぎ倒す豪傑であり、槍の達人でもある。
    大坂夏の陣で海野六郎とは別部隊を作り活躍する。

    ・根津甚八ねづじんぱち

    元海賊の頭領。
    由利鎌之助とはけんか友達。
    幸村が九鬼水軍の動きを探りに出かけた中で出会い、家来となる。
    大坂夏の陣で徳川方と激闘を繰り広げ、討ち死にする。
     
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      同市観光課と県観光連盟が誘致した作品で、市が昨年7月に始めたロケ誘致支援補助金の対象作第1号。映り込む建物が少ない開けた場所で、山が青々としており、夏設定の撮影に適したことから、加太が選ばれた。
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     26日には中村や松坂ら俳優陣とともに、甲ちゅうを着たエキストラ約300人で合戦シーンを撮影。尾花正啓市長がかけつけ堤監督と製作の苦労話や同市の歴史、産業について言葉を交わした。
       尾花市長は「監督と俳優陣が素晴らしく、迫力があった。軍をまとめた幸村の人物像にせまる意味でも、どんな映画になるか期待している」と話していた。
     
     エキストラで徳川軍の武将役を務めた和歌山市の中野正太さんは「早朝から日暮れまでの撮影で寒さとの戦いでしたが、鎧(よろい)や兜(かぶと)を着れる貴重な体験ができた」と喜んでいた。
     映画は9月に全国公開される。
    写真上=加太で行われた大坂夏の陣の撮影。同下=撮影現場にかけつけた尾花市長()と堤監督(ニュース和歌山2016年2月6日号掲載)
                                                                                                                               以上
     

    2016年2月8日月曜日

    世界農業遺産の里山を行く~炭焼き名人の技が百年単位で山の命を支える!(その2)

    さきに「世界農業遺産」に登録された「梅」についてレポートしたが、紀州は「梅」とともにもう一つ有名なモノに紀州備長炭があり、根強い人気がある。
    今回はこの「備長炭」にスポットを充ててリポートすることにした。

    世界農業遺産の里山を行く~炭焼き名人の技が百年単位で山の命を支える!

    02月08 日


     みなべ・田辺地域には、南高梅と並んで全国に誇る有名ブランド「紀州備長炭」がある。農法が世界農業遺産に認定される理由の1つとなった炭焼きには、どのような技術があるのか。同地域で「炭焼き」と呼ばれる炭焼き職人の窯を訪ねた。
     
    みなべ・田辺地域には、南高梅と並んで全国に誇る有名ブランド「紀州備長炭」がある。この地域の農業システムが世界農業遺産に認定される理由の1つとなった炭焼きには、どのような技術があるのか。同地域で「炭焼き」と呼ばれる炭焼き職人の窯を訪ねた。
     人里離れた渓谷の斜面にこつぜんと現れた炭焼き窯は、独特の匂いのする煙を勢い良く噴き出していた。
    炭焼き小屋
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    「原木を運び込みやすく、水があって、火に強い土がとれるところ。だから炭焼き窯はだいたい谷の横にある」。そう説明してくれた原正昭氏は、和歌山県木炭協同組合の代表理事も務める炭焼きの達人だ。
     廉価な「黒炭」に比べて火付きこそ悪いが、いったん火がつくと安定して長時間燃え続ける「白炭」は、最高級の燃料として、鰻の蒲焼き店や高級料亭などのプロの料理人からの人気が高い。とりわけ、みなべ・田辺地域でつくられる紀州備長炭の白炭はトップブランドとして評価されている。
     さっそく原氏に紀州備長炭の白炭を焼く作業工程について聞いた。まず、前準備として、山から原木を切り出し、長さ2メートル数十センチほどの長さにそろえた状態で炭焼き小屋に集める。原木は窯の中に立てた状態で焼かれるため、ところどころにくさびを打ち、できるだけ真っすぐな形にそろえられる。くさびは、より水分を抜けやすくする役割も果たす。
     紀州備長炭の白炭の原木には、アラカシ、アカガシ、ツクバネガシ、シラカシ、ウラジロガシなどが利用される。なかでも、温暖な地域にのみ生育し、和歌山県の県木に指定されているウバメガシが、最高級の備長炭の白炭になる。
     ウバメガシは他の木に比べ、生育が遅いため、水に沈むほど重く、硬い。養分の少ないこの地域の土壌で育つみなべ・田辺地域のウバメガシは、他の地域のウバメガシよりさらに生長が遅いため、年輪も見えないほど密で、硬度も非常に高い。だからこそ、打てばキンキンと金属音を響かせるほど硬い白炭になる。
     「ウバメガシは紀州備長炭でも一番名の通った原木で、生木1トンを焼いても、水分が抜け、炭化してした後は硬く締まって、120~130キロ程度になる」(原氏)。炭焼きは原木の投入から取り出し、次の原木の投入までが約1週間サイクルだ。これを盆暮れの休みをのぞいて一年間休まずに繰り返す。
    炭焼きの第1段階として、1日目に「窯詰め」が行われる。まだ前の炭焼きの熱が残っている窯に、奥から原木を立てながら入れ込んでいく。  第2段階は、2日間かけての「口焚き」。下部に縦横数十センチの「窯口」と呼ばれる穴を残して、原木の搬入口を塞ぐ。このとき塗り込める“蓋”に使うのが、近辺からとってきた山土を焼いてつくった“す灰(ばい)”だ。
     このす灰を水で溶かして塗ると、コンクリートと同じように固まる。塗り込み作業が終わると、窯口の入口で雑木を燃やす。すると“蓋”にあけたいくつもの小さな穴から水蒸気が噴き出し、原木の水分が抜かれていく。
     第3段階は「炭化」。窯の中の原木の水分が抜けきり、着火したら、窯口を塞ぎ、蒸し焼きにする。窯の中を炭化に最適な温度に保つため、炭焼きは、煙の色や匂いをもとに判断し、“蓋”にいくつかの小さな穴をあけるなどして、窯の中に取り込む酸素の量を細かく調節する。
    まだ熱の残る窯には先が二股になった棒をつかって原木を立て込む。その様子を原氏が再現してくれた
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    原氏は煙(顔の右斜め前に写っている)を見ながら「煙が青白いということは炭化の終盤や。もうちょっと炭化が終わって来たら、青うなってきて、酸っぱい匂いやのぅて、ガスの匂いがしよる」と説明してくれた
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    「ほやから、炭焼きは風邪ひいたらアウト。匂いでわかるようになるには10年くらいかかる。76歳のわしのお父はんなんか敏感で、ほかの炭焼きさんの窯のそばを車で通っただけで『明日窯出しやな』とか『この窯、今度はええ炭になるな』とか、今でも匂いでわかるんよ」と原氏は楽しそうに語った。
     炭焼きの長年の経験と研ぎ澄まされた感覚を頼りに炭化作業は3日間続けられる。
     最後に丸1日かけて行われる第4段階の「精煉」こそ、白炭の最大の特徴といえる。
     黒炭の場合、炭化が終わると窯に入る空気を遮断して消火する。しかし、白炭の場合は、窯口を徐々に広げ、窯の中に空気(酸素)を送り込む。すると、窯の中は1000度を超える高温となる。「刀の焼入れと一緒で、一度1000度に上げることで、ぎゅっと締まった炭が、もっと焼き締まる」(原氏)という。
     原木を窯の中に立て込んでから7日目、最終段階の「窯出し」が行われる。炭の温度は、高温に輝くその色合いで識別される。「赤い色はまだ早い。金色くらいが1100度くらいで、ちょうどええ」(原氏)。窯から取り出された炭には、すぐにす灰がかぶせられ、素早く消火される。その際に表面にこの白い灰が付着するため白く見えるが中身は真っ黒だ。
    原氏が焼いたウバメガシの紀州備長炭の白炭
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    密度の高い白炭の切り口には、金属にも似た光沢がある
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    こうして、熟練の技に支えられた7日間にわたる炭焼きの工程が終わる。説明を聞き終えたあと、「紀州備長炭の白炭を生み出すために最も重要な技術とは何か」と尋ねると、意外な言葉が返って来た。 「一番大事なんは『山づくり』の技術やな」。


    山づくりの根幹を支える「択伐」の技とは?
     「わしは紀州の炭焼きに代々受け継がれて来た山づくりの技術・択伐が、世界農業遺産だと思っとる」――炭焼き達人の原氏がそこまで言い切る「択伐」とは、どのような技術なのか。
     炭焼きは、薪炭林を管理・所有する山主に代金を支払い、炭の原料となる原木を伐採する。ブナ科コナラ属のウバメガシは、太い幹が伐採されると、その切り株の根元から「萌芽枝」と呼ばれる新たな枝が何本も萌芽し、成長する。
     みなべ・田辺地域の炭焼きは、地面の1カ所から複数の茎が伸びる「株立ち」の状態のウバメガシを伐採する際、ある程度の太さに成長した枝を必要なだけ選択して伐採(択伐)し、必ず、何本かの枝は切らずに残す。これが「択伐」と呼ばれる独特の伐採法である。
    択伐された小屋の近くのウバメガシ。太い枝は切り、細い枝が残されている
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    択伐した切り株には葉をつけた枝が残っているため、すべての枝を伐採する「皆伐」よりも、萌芽の勢いが強く、萌芽枝の成長も早い。そのため、択伐のやり方の違いによって次に炭焼きの原材料として使えるまでの期間が変わってくる。回帰年数の早いタイプの択伐方法で7~8年、遅いタイプでも15~20年たてば、前回の択伐で残した萌芽枝が伐採できるまでに成長する。
     40年間に、皆伐なら1回しか伐採できないが、択伐なら2、3度は原材料が採れる。過去の調査では、択伐をすれば皆伐の2倍以上の伐採材積(収量)が確認されているという。
     「全部いっぺんに切ってしもたほうが金にはなる。でも、択伐やったら、一生のうち3回切れる。木が若いうちに切ったら、出た芽の育ちが倍ちがう。1割、2割、もうけを山へ置いといたら、今度山へ上がるときに10倍になって戻って来る」と原氏は言う。
     「このやり方したら、15haの山があったら、炭焼きさんはその中で一生食っていけるだけの仕事が確保できる。これはものすごいノウハウやで」(原氏)
     こうして、薪炭林では、炭焼きが山々を回り、ウバメガシやアラカシ、アカガシなどのA級の原木はもちろん、A級の原木が少なければ、コナラやミズナラなどのB級の原木など、20種類にも及ぶ木が択伐される。逆にそれらの成長を阻害するスタジイ、ツブラジイ、クスノキなどは除伐することにより、薪炭林として維持管理されていく。
     「山を30、40年もほっといたら、炭になる木も太くなり過ぎて手遅れになる」。それだけではない。炭焼きによって手入れされない山は、土砂崩れや灌水機能の喪失などの可能性が大きくなってしまう。
     炭焼きの択伐は、まさしく「山づくり」の技術なのである。「定期的に切っとるさかい、こんな元気な山でいられる。こういう切り方してきたから、貴重な資源が枯渇せんとやってこれた。だからこそ紀州備長炭が生き残れた。択伐で山つくる技術ちゅうのは紀州独特の山づくりの技術や」と原氏は胸を張った。
    みなべ・田辺地域の梅システムの断面図
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    南高梅と紀州備長炭は都内のアンテナショップで入手できる
     このような優れた農業システムによってつくられた「みなべ・田辺地域の南高梅」を存分に味わってみたい……そう考える人にうってつけなのが、和歌山県が東京に出店している2つのアンテナショップだ。
     JR有楽町駅前の東京交通会館の地下1階にある「わかやま紀州館」は、2003年2月のオープン以来、売り上げを右肩上がりに伸ばし、平成26年度の年間購買客数は9万4500人に達した人気店だ。
    「売上げの3割が『梅干及び調味梅干』で、ほとんどがみなべ・田辺地域のものです」と公益社団法人 和歌山県観光連盟「わかやま紀州館」の井沼秀計プロジェクトマネージャーが語るように、同店には約60アイテムの梅干しや調味梅干が並べられ、「梅干しのカプセルトイ」まで設置されている。
     「『私の梅干しはここに来たら買える』ということで、個別のブランドにお客様がついていて、“My 梅干し”を買いに来るリピーターが多いですね」と井沼氏は言う。店員に頼めば、ほとんどの商品が試食できる。
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    紀州館のカプセルトイ
    一方、2014年8月にオープンした「わかやま紀州館 いこら」は、JR東京駅の八重洲口を出てすぐのところにある。
     店内にずらりと並んだ梅干しと調理梅干しの商品のほぼすべての前に試食用の容器が並んでいる。
     「当初、梅干しと調理梅干しの200アイテムは、東京のアンテナショップで日本一の品ぞろえでした。現在も60~70アイテムあり、そのほとんどが自由に試食できます」と津留哲也店長は言う。
     「事業なので売り上げは伸ばさなければいけませんが、和歌山の中小の事業者さんが一生懸命つくった商品を東京で一つでも売り、その魅力を東京で広めるお手伝いするために、スタッフは接客中心、声掛け中心でやってきました」。そう津留店長が語るように、この店の特徴は、客の「もっと塩分の低いのは?」「甘いのは?」「昔ながらのすっぱいのは?」などのリクエストに丁寧に応えながら、その人に合った梅干しや調理梅干しを一緒に探してくれることだという。
     区画整理のため、残念ながら2016年2月19日に一旦クローズし、場所を変えて営業を再開する予定だが、それまでの期間は「お客様ご愛顧感謝セール」が開催されているので、高価な商品も、より買い求めやすくなっている。
     これら2つのアンテナショップに立ち寄って「みなべ・田辺の南高梅」を味わってみれば、世界農業遺産に認定された「みなべ・田辺地域の梅システム」の素晴らしさの一端をうかがい知ることができるかもしれない。
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    わかやま紀州館 いこら
    いこらでは、さまざまな種類の梅干を試食できる
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                                                                                                                                             以上