これらのなかで、社会的に闇の部分である自殺者の数および無縁死者の数が増え続けている。
これらの背景には従来わが国の美徳とされた地縁・血縁が断絶気味となり、無縁社会化してきている。これらの世相を背景の無差別殺人があとを絶たず、むしろ増加する傾向にある。
今回はこの闇の部分の典型である「自殺者数」と「無縁死者数」について述べてみたい。
「日本の自殺者」
警察庁の発表によると、09年の自殺者数は3万2753人と12年連続で年間3万人を超えたという。たしかに、日本は自殺者数が多いと聞くが、この数字は国際的に見てどのくらい多いのだろう?
WHOによると、人口10万人ごとの自殺率の上位10カ国にベラルーシ、ロシア連邦、ハンガリー、ウクライナなどの旧ソビエト連邦諸国や旧ソ衛星国が名を連ねている中、6番目に日本の名前が挙がっている。日本の自殺率が高い背景について、自殺問題に詳しい作家の江上剛氏はこう語る。
「日本の自殺は、他国に比べて中高年男性が多いんです。うつ病を発症しやすい年齢でもあるし、リーマンブラザーズ破たん以降の不安定な経済による事業の失敗や業務への喪失感に加え、責任を1人で抱え込んでしまうからかもしれません」
それでは、ランキング上位を旧ソ連諸国が占めているのはなぜなのか? 防衛医学研究センター行動科学研究部門の高橋祥友教授に伺った。
「日本より上位の国々は、社会変動が自殺率に直接影響しています。91年のソ連の崩壊によって独立した国々、特にバルト3国は独立当初、未来に対する希望が生まれ自殺率が低下しました。
しかし、期待していたような変化はなく、夢が絶望へと変わったことで、自殺率が一転して上昇してしまったのです。またアフリカやアジアの場合は、WHOに自殺に関するデータを提出していない国も多い。
特に飢餓や感染症などで多くの人たちが死亡する国では、自殺にまで関心を払う余裕がないんです。 ほかにも、中東の国々では、イスラム教の経典コーランに自殺の禁止を明記した項目があるため、自殺率が低いともいわれています」
先進国の中でいえば、アメリカやフランスは日本の半分弱。イタリアやイギリスは4分の1程度の自殺率だという。やはり、お国柄が違うとはいえ、日本の自殺率は群を抜いて高いと言わざるを得ないようである。
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(原因・動機別自殺者数・平成20年中)
「無縁死」
自殺率が先進国の中でワースト2位の日本。NHKが全国の自治体に調査したところ、ここ数年「身元不明の自殺と見られる死者」や「行き倒れ死」など国の統計上ではカテゴライズされない「新たな死」が急増していることがわかってきた。
なぜ誰にも知られず、引き取り手もないまま亡くなっていく人が増えているのか。「新たな死」の軌跡を丹念にたどっていくと、日本が急速に「無縁社会」ともいえる絆を失ってしまった社会に変わっている実態が浮き彫りになってきた。
「無縁社会」はかつて日本社会を紡いできた「地縁」「血縁」といった地域や家族・親類との絆を失っていったのに加え、終身雇用が壊れ、会社との絆であった「社縁」までが失われたことによって生み出されていた。
また、取材を進めるうちに社会との接点をなくした人々向けに、死後の身辺整理や埋葬などを専門に請け負う「特殊清掃業」やNPO法人がここ2~3年で急増。無縁死に対して今や自治体が対応することも難しい中、自治体の依頼や将来の無縁死を恐れる多くの人からの生前予約などで需要が高まっていることもわかって来た。
日本人がある意味選択し、そして構造改革の結果生み出されてしまった「無縁社会」。NHKスペシャルで採り上げたこの番組(2010・1・31放映)では「新たな死」が増えている事態を直視し、何よりも大切な「いのち」が軽んじられている私たちの国、そして社会のあり方を問い直した。このNHKスペシャル「無縁社会」報道後、驚きの大きな反響が次々と寄せられた。NHKでは引き続き続編を編集、放送を予定している模様である。
「NHKスペシャル・無縁死3万人」によせられた反響、コメント!
NHK「無縁死3万人」に大反響 「他人事とは思えない」コメント殺到
誰にも知られずに死に、遺体の引き取り手もない「無縁死」が増えているようだ。NHKがこうした「無縁死」の特集を放送すると、「とても他人事とは思えなかった」「精神的に辛くなったわ」といったコメントが巨大掲示板「2ちゃんねる」に殺到したほか、個人のブログにも取り上げられた。
反響を呼んでいるのは2010年1月31日放送のNHKスペシャル「無縁社会~『無縁死』3万2千人の衝撃~」。「身元不明の自殺と見られる死者」や「行き倒れ死」といった国の統計では出てこない「新たな死」が急増し、NHKの調べによると年間3万2000人にのぼる。このうち1000人が身元不明のままだ。
「行旅死亡人」として処理される
身元不明の死者は「行旅死亡人」として処理され、遺族を捜すために性別、身長や外見の特徴、所持品、発見された日時と場所、「餓死」「凍死」など死因を国が発行する「官報」に掲載する。遺体は火葬されて一定期間、行政が遺骨を保管するが、引き取り手が現れない場合には無縁墓地に埋葬される。
番組では「行旅死亡人」として09年3月の官報に載っていた60~80歳代とみられる男性の人生の軌跡をたどる。男性は都内のアパートの部屋でテレビを観ていた時に亡くなったようで、コタツに入り、座ったままの姿勢だった。発見された時には死後1週間以上が経過していて、アパートの大家によると腐敗臭がひどく、テレビと電気は付けっぱなしだった。
大家が保管していた契約書から氏名と仕事場が判明する。男性は給食センターで正社員として定年まで働き、20年間、無遅刻無欠勤だった。退職後は同僚との人付き合いも希薄になっていたそうだ。取材クルーは履歴書に書いてあった出身地の秋田に向かうが、男性の両親は既に亡くなり、家は都市開発で残っていない。親族の墓地が見つかったが、遺骨は無縁墓地に埋葬された後だった。同級生とも疎遠になり、同期会名簿では「消息不明者」の欄に名前が記されていた。
「画面を見ていて背筋が寒くなった」
番組を観て「将来、自分の身に起こるかも知れないこと」と感じ、不安に駆られた人が続出。放送中、「2ちゃんねる」に複数のスレッドが立った。放送から2日経った2月2日も書き込みが相次いでいる。
「マザマザと事実を見せ付けられて正直参ったよ」「精神的に辛くなったわ」という率直な意見もあれば、「その携帯とインターネットで、ほんとに人とつながっていますか? ということが問われるわな。人間関係が昔よりも薄くなってね?」「今はまだ若いから、年とった時のことなんかあまり真剣に考えられないけど親が亡くなり、友達もどんどん結婚して家庭をもち疎遠になり、老化した不自由な体でたった一人で毎日をすごす…ってのを想像したら鬱々になる」などと将来への不安をにじませる人もいる。
「お隣さん孤独に死んでた」と書き込んだ人もいる。亡くなった男性は30歳代でまじめに仕事をしていたが、遺体は「両親からも別居中の奥さんからも引き取り断られてた」と書かれている。
ほかに「50代独身だった叔父が実際に孤独死してるから洒落にならん」という人もいて、身近でも「無縁死」が起こっているようだ。
また、ブログで話題のキーワードをピックアップするサイト「kizashi.jp」によると、「無縁死」に関するブログは番組が放送されるまではほぼゼロだったが、放送後から2月2日までに171件に達した。「とても他人事とは思えなかった」「私自身も『無縁死予備軍』になっていくのかもしれないと思うと、画面を見ていて背筋が寒くなった」などと個人のブログに続々と書き込まれている。
政治とは本来「国民を幸せにすること」である。この視点がいつの間にかうとんじられ、忘れ去られようとしている。いまや政治不信は国民がこれらのことに気がつき、悲鳴をあげだしたのではなかろうか?
政権交代があり長年の自民党支配の政治から民主党支配の政治へと舵が切り替えられ、政治のスローガンは「コンクリートから人へ!」と視点が変わった。政権交代だから当然のことである。
しかしながら、民主党が選挙時の公約したマニフェストが財源の理由で次々空約束で、総理および党幹事長の要の二人とも「政治とカネ」の問題に極めてグレーで、政策面での揺れとリーダーシップ欠如とともに、このことが国民に政治不信を招いている。
それ故、政治の使命は国民を幸せにすることにある根本に立ち返って原点から組み立て直して欲しい。そうして、老いも若きも国民のだれもが将来に夢を託せる社会の実現の向かって全力を注いで欲しい。その信念が見えてこそ国民の信頼が寄せられるということだろうから。
しげやん^^
返信削除自殺者が最近多いのは書かれている通りうつ病が多くなっているって聞きますね。それに死に対する意識も低くなっているように思います
RE: atitiさん
返信削除誰でも先々の見通しが付かない不安定な状況に長くおかれ
たら、誰でも精神的に滅入り不安定になるでしょう。
働いている先が何時リストラされるか、何時潰れるか?
非正規労働者にはもっと厳しいでしょう。期間契約満了で
更新なしということもありますから、また改めて働き先を
探さないとなりません。いつも情緒不安定な状態に置かれる
と、何時風船が爆発するかわかりません。
誰だってキレるか、死にたくなるでしょう。
しげやんは、神経が細くて、打たれ弱いタイプですので
ウツ病にかかりやすいです。
この点atitiさんは、打たれ強そうに見受けられますが・・・!