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2010年3月11日木曜日

3月12日・ゴルフに見る「韓国人選手の強さの秘密」に迫る!


(世界を股にかけ活躍する申ジェ、09年米国ランキング1位、日本でもシード権を有する







 

 近年、韓国人選手のスポーツ界での活躍は目をみはるものがある。ごく最近ではバンクーバー冬季五輪大会でのメダル獲得数には、ビックリさせられた。人口が日本の4割弱の国が金6、銀6、銅2計14個のメダルを獲得、対するわが国は金0、銀3、銅2という不本意な成績に終わった。
 4年後のロシア、ソチで行われる大会のため、選手育成を国として強化してゆく方向を、今回の選手団団長を務めた橋本聖子団長が政府に求めた。

一方韓国はすでに選手育成のプログラムが備わっていて、国、財界を挙げて国威発揚とも絡み、強力な体制が敷かれている。「追いつけ追い越せ」の単なる「ハングリー精神」だけでなく、システム的にも展開されている。

今日は、スポーツのなかから女子ゴルフ競技をモデルに、韓国の選手育成強化策について見てみようと思う。

 なぜ韓国のプロゴルファーは強いのか?

 
 ゴルフの韓国人選手は、男子プロは女子プロに比べて活動は少しは低調です。
その理由は、韓国の男子には徴兵制度があり、二十歳になると二年間軍隊に入らなければなりません。軍で二年間過ごすと、体力的には強くなり大きく成長しますが、最も大切な「二十歳過ぎ」という時期にゴルフから離れるため、感覚が戻らずにゴルフの道を諦めてしまう選手も多いからです。

 われらの石川遼選手はゴルフに専心するため、大学進学を先送りしゴルフに打ち込む決意をしましたのも、こういう理由からなんでしょうか!

このような事情があっても、男子のなかにも全米プロにおいてY・E・ヤン選手がタイガーを破って優勝しています。    

 この強さはどこからくるのでしょうか?

 韓国人が強くなる要因を外的要因と内的要因に分けて考えます
まず、外的要因ですが3つの要因が挙げられます。
1.韓国ゴルフ協会(KGA)が国を代表とする選手を育成する。
2.大手企業やマスコミがその選手育成を支援する。
3.練習環境
 韓国のゴルフはKGAが管轄していますが、そのKGAは、韓国小学校ゴルフ連盟、中学・高校・大学ゴルフ連盟に分かれています。

 そして、現在、男子中学校の212校にゴルフ部が有り、148の女子中学校にゴルフ部があって、合計360校の中学校にゴルフ部があります。
同じく、高校に於いては212校の男子校にゴルフ部があり、女子校には111校あり合計323校の高校にゴルフ部があります。
さらにすごいことに、53の小学校にゴルフ部があります。
その広い裾野から素質ある選手が選抜され代表選手として成長して行きます。

 当然のことながら、韓国ゴルフ協会が育成した国の代表選手には、スポンサーが付きやすく、代表になると国際大会に出場ができて国際経験が豊かになります。
育成選手になると、KGAのプログラムに則り、一年間、体力訓練、メンタル訓練、さらに、科学的な基礎まで作られます。そして、国際大会を目標に、年間150日間の強化訓練の中で貴重な経験と実力が蓄積されて行きます。

 国の代表はビッグスターになる最短コースであり、ジュニアゴルファーの親たちにとっては、夢の様な場所となる訳です。代表選手と言うゴルフのエリートたちは、国から様々な援助を受けて、大学進学までゴルフの特待生と言う立場が約束されます。

 また、将来プロゴルファーになるという明確な目標を持つことになります。
ジュニアゴルファーの親(代表を目指す子供の親)は、年間約6000万ウォン程度(約600万円)の費用を負担しなければなりませんが、一旦代表になると、無料で国の最高のコーチからレッスンを受けられ、管理されたプログラムで訓練を受けるので経済的な負担は全くありません。

 このような特典があるから親たちは必死になって国の代表を目指します。
現在、世界で活躍している朴セリ、申ジエ選手などが代表出身者ですし、日本で活躍している全美貞、李知姫、宋ボベ、ヒョンジュ選手達も国の代表の出身者ですから、国の代表の選手達がプロの世界に入るのは、自然なことと言えます。

 韓国の練習環境、特に自然環境は決して良くありません。十一月~三月まで地面が凍結して韓国では練習が十分に出できないために、多くの選手が海外合宿やゴルフ留学をします。
場所は東南アジア、オーストラリア、アメリカ、ニュージーランド等です。
 それにかかるおよその費用は、東南アジアでは180万ウォン(約18万円)、オーストラリアは4000ドル(約40万円)、アメリカは6000ドル(60万円)です。
このことがまた、ハングリー精神を強力にする要因にもなっているのでは無いでしょうか?

 
つぎに韓国人が強くなる内的要因を考察してみましょう

 内的要因も外的要因と同様に3つの要因が挙げられます
1.体力訓練と食べ物
2.ハングリー精神の涵養
3.選手家族の献身です。

 肉体的な訓練については、特別なものはないのですが、想像を絶するほど練習量をこなします。
中学生や高校生が一日に3000球以上のボールを練習場で打っていると言われますが、それが事実ならば恐らく食事の時間も惜しんで練習に励んでいるのではないでしょうか?
食事に関して、韓国人は食事を大変大切にします。よく食べ、よく運動してサプリメントとして漢方薬を多用します。
 また、精神面では非常にハングリーです。
英語の語源のハングリー=「お腹が空く」と言う事だけではなく、目標に対する意欲、執念が強くて、世界一になる夢に向かって眠る時間まで惜しみます。

「やればできる!」という信念はどの国の人にも負けないものがあります。

そして、これが一番のポイントですが家族の献身が上げられます。
韓国人ゴルファーの親は子供のために全財産を投げ出すこともいといません。
優秀なコーチにレッスンを受けられるならば家を売ってでもそれを実現させます。
家族全員が子供のために海外に移住することさえあります。
子供が単身ではなくて家族も同行して、家族と一緒になって懸命に自分の夢を育てる。
そして成功した後には、当然のように家族のために稼いだお金を使い、それに対して子供が反抗することはありません。

この傾向はスポーツだけでなく全ての面において家族の絆が大変に強い民族です。これは儒教の影響が非常に大きいと思います。
さらの、韓国人選手は愛国心が強くて、国旗を胸に試合に臨む時は、誇りをもち、地域の人々や国民全体から絶対的な信頼得ていると信じてプレーをします。
つまり、強い選手の育成には、政府、企業、ゴルフ界、親の協力と、選手の強い信念が必要な条件です。そして韓国ではこの条件が見事に上手くかみ合っていると言えます。

 韓国のプロゴルファーが強い理由は、前述の如く、沢山のジュニア達がプロゴルファーを目指して各種の経験を積み、そしてその沢山のジュニア達の中から優秀な選手が競争に打ち勝ってプロの世界に飛び込んで行きます。ですから、しっかりとした技術と精神力が身についているからこそプロの世界に入っても力を発揮できると言う訳です。

ある韓国の女子プロゴルファーに、つぎの質問を投げかけてみました。『日本人選手もアメリカツアーで戦っていますが、韓国人選手の活躍に比べると見劣りする感があります。日本人選手が海外ツアーでさらに活躍するためには、何が必要でしょうか?』に対して、
『日本人選手は、選手としても、社会人としても「優等生」が多いですね。韓国人選手は、実力志向というか、「世界一になる!」という目標が一番に来ます。他に気を回すことは少なく、目標に向かってひた走る。そこが韓国人選手と比べて日本の選手には欠けている部分でしょう。今まで米ツアーで戦った韓国人選手を見ると、日本ツアーで活躍してゴルファーとしての立場を確立させ、さらにステップアップのためにアメリカに行く人が多いんですが、自分の地位を安定させて次に行くというよりは、目標の場所に飛び込んでいく闘争心があるように思います。』と答えています。

はやり、国の取り組む姿勢、親の姿勢、選手のモチベーションとハングリー精神の違いが浮き彫りになっているように強く感じました。バンクーバー冬季五輪大会の韓国が挙げた成績もこれらのことが結果に反映されてのことなんでしょうか?なんだかわが国がますます引き離されてゆくように強く感じられました。

(左から日本女子ランキング7位宋ポべ、同6位李知姫、同4位全美貞の三羽ガラス)











4 件のコメント:

  1. しげやんさん。
    またまた、ご無沙汰いたしました。
    韓国に何度か行って、精神力が違うのではないかと思いました。
    仏教のお寺では、みなさん五体投地で礼拝していましたし、ナマクラではとても僧侶は務まらないと感じました。
    喜怒哀楽も激しいし、お隣の国ですがずいぶん違いますね。

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  2. RE*       mugさん
    五体投地の礼拝は主にチベット人がラサ、カイラス等の聖地
    に巡礼するとき、このやり方で進みます。極めて歩みが鈍い
    方法ですが、それだけ祈りが込められているのでしょう。
    仰るように、韓国でもこのやり方が行われるのを見たことが
    あります。
    奈良・東大寺は今日クライマックスの「お水取り」神事が
    行われましたが、修二会で籠り僧が一日数回この五体投地
    で祈りを奉げています。本来の礼拝方法かも知れません。
    韓国の人の知り合いがおりますが、理性より感情がさきに
    出てきます。起伏も激しいです。
    また、ご存じ「テゲ、テゲ」できっちりよりも大概です。
    代わってハングリー精神は相当なものです。

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  3. しげやん^^こんばんは~^^
    韓国人は家族を大切にすることはよく聞きますね^^
    日本は満腹になったのでしょうか?ハングリー精神がなくなりましたね^^これから日本は何事もどんどん負けていくのではないかと心配です-0-
                   atiti

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  4. RE: atitiさん
    向上心については、われわれより数等上ですね!
    頑張り屋さんです。一族の団結は強固で、慶長の出来事が
    あると、必ず一族が集まります。血の団結とでもいうんで
    しょうか?

    われわれ日本人との付き合いについても、彼らの信頼を得る
    のは大変ですが、一旦信頼関係ができると結び付きが強い
    です。日本人以上でしょうね。

    年寄りを尊敬する、大事にする、これらは儒教の教えが今で
    も彼らのなかには生きています。
    性格は熱しやすく、感情の起伏が激しいです。「テゲ、テゲ」
    というように几帳面より、適当、大概が特徴です!

    精神的な強靭さは日本人より大分上ですから、これから先
    負けっぱなしといこともあり得ます。現に製品競争の分野で
    も、すでに遅れをとっています。強敵です。

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