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2010年3月28日日曜日

3月29日・「サクラいろいろ!」ー俳句・和歌にみるサクラー

           (奈良・吉野山の山櫻)

 ”春に三日の晴れ間なし”のことわざ通り、昨夜から雨風で、雨はあがったが、花冷えなのか季節が逆戻りした今日のお天気である。

 一昨日27日は足を延ばして紀三井寺の桜を見に行ったが、わたしのところへ朝日新聞社のアスパラ・クラブから四季折々に「NEXT-AGE」が送られてくる。
 
 最近送られてきた「2010春」号をのぞくと、そこには女優の竹下景子さんの「奈良の都は咲く花の匂うが如く今・・」(遷都1300年祭開催中)と並んで、作家の森村誠一さんの「カメラとペンを持ってお花見に行こう!」が載っていた。 

そこには「ひねるより 一句一写の 花便り」とあり、”幻の 樹影を見たり 迷い花”の句が添えられていたこれが、いま流行りの写真俳句だそうである

           "歳月を 浮かべる酒や 霧の音”  森村誠一
    ◇                  ◇
 一昨日の紀三井寺の桜見物にはペンこそもって行かなかったが、カメラを持って行き、画像はきのうアップしたので、きょうはペンの代わりに昔からの有名な歌読み人に登場願い、自慢の俳句や和歌をご披露いただきパソコン画面での花見と参ろうか!

 われもまた 写真俳句 なるものを 見よう見まねで やってみるべし!
                                                     「桜を詠んだ和歌・俳句」あれこれ!

・さまざまの こと思ひ出す 桜かな    松尾芭蕉
・よし野にて 桜見せふぞ 檜の木笠  
・花の雲 鐘は上野か 浅草か

(花曇りの空に鐘の音が聞こえてくる。あれは、上野東叡山寛永寺の鐘か、はたまた浅草浅草寺の鐘か。芭蕉には、梅の句に秀句が多いのに比べて桜の句には見るべきものが少ない。そういう中で最も有名な桜の一句である。)

・行く春や 白き花見ゆ 垣の隙     与謝蕪村
・さくら狩り 美人の腹や 減却す 
・花ちりて 身は下やみや ひの木笠 

・見かぎりし 故郷の山の 桜哉     小林一茶  
・あの鐘の 上野に似たり 花の雲
・桜花 何が不足で ちりいそぐ

・散る桜 残る桜も 散る桜       良寛

・桜咲く 前より紅気 立ちこめて     山口誓子

・山の日は 鏡のごとし 寒桜      高浜虚子

・観音の 大悲の桜 咲きにけり     正岡子規

・行く方に また満山の 桜かな     中村汀女

・夕桜 あの家この家に 琴鳴りて   中村草田男

(現代短歌)
・さくら桜 そして今日見る このさくら  俵万智
   三たびの春を われら歩めり

・花も葉も 光りしめらひ われの上に  若山牧水
笑みかたむける 山ざくら花


(和歌)
・花の色は 移りにけりな いたづらに
     我が身世にふる ながめせし間に
       小野小町 古今集・小倉百人一首

(桜の花の色はすっかりあせてしまったことよ。長雨がふっていた間に。わたしの美しかった姿かたちもおとろえてしまった。むなしく世をすごし、もの思いにふけっていた間に。)


・久方(ひさかた)の 光のどけき 春の日に
    しづ心なく 花の散るらむ
       紀友則 古今集・小倉百人一首

(「のどかな日のひかりのさしている春の日に、なぜ桜の花は静かな心もなく、このように忙しく散ってゆくのだろうか。」)

● 明日ありと 思ふ心の あだ桜、
   夜半(よわ)に嵐の吹かぬものかは   親鸞。

(今は盛大に咲き誇っていても、夜半に嵐が吹けば桜は一瞬にして散ってしまう。世は無常であって、やるべきことは必ずできる時にやって、明日桜を見に行こうというが如き気持ちではいけないということ。)人間のことを桜に例えて戒めた歌。親鸞が9歳の時、出家しようと慈円和尚の元へ行ったが、既に夜も更けていたので慈円和尚が「今夜はとりあえず休め」と言ったところ、この歌を詠ったとされる。

・しき島の やまとごころを 人とはば 
   朝日ににほふ 山ざくら花     本居宣長

(サクラは私たち日本人が古来からもっとも愛した花である。そしてわが国民性の象徴であった。宣長が用いた「朝日ににほふ山ざくらばな」という下の句に特に注目されたい。大和魂とは、ひ弱な人工栽培植物ではない。自然に生じた、という意味では野生のものである。それは日本の風土に固有のものである。その性質のあるものは偶然、他の国土の花と同じような性質を有しているかもしれない。だが本質において、これは日本の風土に固有に発生した自然の所産である。
 また、私たち日本人のサクラを好む心情は、それがわが国固有の産物である、という理由によるものではない。サクラの花の美しさには気品があること、そしてまた、優雅であることが、他のどの花よりも「私たち日本人」の美的感覚に訴えるのである。)(新渡戸稲造「武士道より」


・おしなべて 花の盛に なりにけり  
    山のはごとに かかる白雲   山家集 西行
・願はくは 花の下にて 春死なむ 
   そのきさらぎの 望月のころ   西行


・さざ浪や 志賀の都は あれにしを  
   昔ながらの 山ざくらかな  平忠度

・世の中に 絶えて桜の なかりせば 
    春の心は のどけからまし        在原業平

(世の中に桜というものがなかったなら、春に(桜はいつ咲くだろうかとか、雨風で散ってしまわないだろうかなどと)心乱されることはないだろうに。)




あす30日、明後日31日と2日間、お休みを頂き、4月から再開します。ご了承下さい!

4 件のコメント:

  1. しげやん^^こんにちは~^^
    今年は雨が多くてさくらを見に行く機会がないような感じがします。雨が降らなかったら曇りで寒く・・・・・今日も寒いです。紀三井寺のさくらはとても有名ですがその反対の出水橋のさくらは隠れた知る人ぞ知る有名な桜ですよ^^それは見事に咲くんです
    もうそろそろ満開になっているかも知れないのでまたパトロールに行ってきたいと思います。寒いからつい行かなくなってしまうのよ^-^
                 atiti

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  2. RE: atitiさん
    大門川か何処かのサクラがキレイだとか聞いたことがあります。ここの桜のことでしたか?
    きょう所要があって智弁の野球試合途中で出かけたのですが、
    帰ろうとしたら雨が吹き降ってる。雨宿りを兼ねて仕方なし
    に試合を訪問先のTVで見終わって帰ってきましたが、甲子園
    でも雨が降っている様子が映ってました。
    春先は天候不順ですし、今年は強い風もよく吹きます。
    atitiさんも風邪を治してはやくパトロールに行けるといい
    んですがね!

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  3. 桜がさく頃は
    毎年友の命日と父の命日が
    続いてあるので
    静かに過ごしたくなりますね~

    毎日近所の中学を
    見上げて散歩するのが一番です。

    きょうはとてもそらがクリアです。
    花の色も冴えるでしょうね。
    小次郎は花が咲いても
    地面にしか興味がありません。

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  4. RE: ばっちゃんさん
    きょう30日は、奇しくも旧暦2月15日、西行の「忌日」
    に当たります。そう如月の望月の頃で、「西行忌」です。
    サクラは咲けども風冷たく、きのうは京都、神戸で雪が散ら
    ついてました。きょうも風が冷たいです。
    友の命日、若しやして「小雨」ちゃんではないですか?
    長崎のマダムと一緒に墓参にゆかれたのを覚えていますよ!

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