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2013年7月1日月曜日

現代に見る「企業再生請負人」(和歌山電鉄社長・小嶋光信氏)(その1)

 さきに、江戸時代の「信州・松代藩(真田家)」、「上杉・米沢藩」の財政再建と藩内の立て直しを、都合5回にわたって綴ってきたが、果たして現在における経済的弱者・交通的弱者に対する国としての政策は如何なものなんだろうか?

 
ここで、明確に云えることは、いつの世も「真理」は一つ、何も変わることがない!
"出るを制して入るを図る” それをメリハリを効かせてやり遂げる!プライオリティー(優先順位)を明確にすることに尽きる。 こと極めて単純な原理を、どういう信念をもって成し遂げるか否かであろう!

ここに、一人の男がいる!その名前を小嶋光信といい/岡山の両備HDの代表を務め、地元和歌山では南海電鉄が貴志川線から撤退のあとを受け「和歌山電鉄」を設立。地域住民らとともに「住民側の視点から」の目線で、彼独特の信念と卓抜なアイデアのもと、三毛猫のたまを「たま駅長」に起用、「たま電」「おもちゃ電」「いちご電」等、電車を乗るだけの輸送手段でなく、乗っていることが愉しい空間づくりに情熱を注ぎ、全国の赤字・不振交通機関の再生を請負うなど、大車輪の活躍をされている。
 
 
 このブログにも「たま駅長」「二タマ駅長」とともにたびたび登場願っている地元の「創新」のモデルでもある。

今回は現代における企業再生請負人として、現在の問題点を如何に解決してゆくか、その信念と解決策についてお話を覗うことにした。

  世の中「組織」を上手くコントロールしてゆく「組織経営術」と云われるコントロール術がある。

「上杉鷹山」の著者・童門冬二氏は、これを下に掲げたように「9つの行動プロセス」に分類して解説している。 

よくいわれるP-D-C-A(プランーヅーーチェックーアクション)を、さらに細分化して、上手く行かなかったときの修正力と再実行力を加えている。みなさんも組織運営の「術」と心得て、頭の中にシッカリと覚え込まれるといい! 

そしてリーダーたるモノ「責任感」ではなく、それをはるかに超える「使命感」をもたなければ、チーム全体を率いることは難しい!

いわゆる「ヴィジョン」をもっているか否か、である。"勇将のもとに弱卒なし”であろう! 

下に掲げる小嶋光信氏は、使命感をもった典型的なリーダーである!氏から学ぶことは多い!



 

地方の赤字路線 再生請負う!


写真・図版
貴志川線和歌山駅で「たま電車」とともに=和歌山市、

小嶋光信(こじま・みつのぶ)さん(68) 地域公共交通総合研究所理事長
 

「この10年ほどで赤字の地域公共交通の大半がさらに厳しい経営状態になる。50%くらいの路線や会社は潰れるかも知れません」
 のけぞるようなことを口にする。「私の予測はだいたいその通りになるんです。でも、こればかりは当たってほしくないですね」

 毎年、各地で廃止されるバス路線の「全長」は、北海道の北端から鹿児島までの直線距離を超える約2千キロに及ぶ。ローカル鉄道も多くが青息吐息だ。このままの勢いで人口減少と地域の疲弊が続けば、予測が現実にならないとも限らない。

そんな地域の足を守ろうとこの4月、シンクタンク「地域公共交通総合研究所」を設立し、理事長に就いた。再生のノウハウを提供し、政府への交通施策の提言も視野に入れている。
 
 「再生請負人」としての手腕は折り紙付きだ。これまでに再生させた公共交通は、三毛猫の「たま駅長」で有名になった和歌山電鉄貴志川線、中国バス(広島県)、松阪航路(三重県)など10社にのぼる。乗客の減少で大手電鉄がさじを投げたローカル線。労使関係の悪さからストライキが相次ぎ、乗客に見放されたバス会社。開業前の需要予測が過大で経営破綻(はたん)したフェリー会社。だれも拾わない「火中の栗」ぞろいだ。

 岡山市などで路線バスと路面電車を運行する「両備グループ」の代表。55のグループ企業と、従業員約8500人を率いる。ただでさえ忙しいのに縁もゆかりもない会社や路線のために奔走する。地方の一経営者が、どうしてそこまで入れ込むのか。転機は50代に訪れた。

 三百数十年前に岡山藩主を支えた重臣、津田永忠(ながただ)。その人生をたどり、顕彰する会が地元の経営者や文化人の間でつくられ、責任者になった。業績を調べるうち、新田開発の大干拓事業を進言した永忠が、個人で豪商から巨額の借金をして資金を用立てたエピソードを知る。藩の財政難を理由にした反対論を押し切るためだった。
 

 将来の希望もなくただ生きているだけの民に、農地と夢を与えたい。そのために何万両の借金をして事業を断行し、「治世とは、民の苦しみを救うことにござる」という言葉を残した永忠。それに比べて自分はなんだ――。若干の仕事をして社会の役に立っていると思っている小ささを突きつけられた。「再生を請け負うようになったのは、それからです」
 
 より多くのケースに対応するために立ち上げた研究所では、交通問題や金融に詳しい大学教授らの知恵も借り、依頼を受ければ会社の経営分析から再生策の立案までを手がける。請求するのは実費だけ。すでに1社の要請を受け、再生計画進行中だ。
 

 「誰だって生まれてから免許を取得するまでは交通弱者ですし、年を取ればまた交通弱者になります。公共交通は人生の始めと終わりで必ず利用する、社会に欠かせないツールです。だから公共交通なんです」


・小嶋光信さんプロフィル

写真・図版
40代の小嶋光信さん
★1945年、東京都で生まれる。ビール会社や製粉会社を経営する祖父、銀行員から会社を興した父の影響で、幼い頃から事業家にあこがれる。
★慶応大学で経済を学びつつ、「学生起業家」としてキャンパス内の貸しロッカー、家庭教師派遣、学生向け世界一周旅行の企画を手がける。
★73年、大手銀行に勤めていた28歳のとき、両備グループ代表だった義父から旧両備運輸の再建を打診され、銀行を退社。同運輸常務に就任し岡山に転居。30~40代=写真=はグループ企業社長を歴任。
★99年、両備グループ代表に就任すると、「忠恕(ちゅうじょ、真心からの思いやり)」を理念に「社会正義」「お客様第一」「社員の幸せ」を経営方針に掲げる。「これまで一人の社員もリストラしたことはありません」
★2005年、和歌山電鉄社長に就任し、翌年開業。その9カ月後、「たま」に駅長を発令(今年1月には社長代理に出世)。貴志川線再生の取り組みが認められ、09年には国土交通大臣から地域公共交通活性化・再生優良団体として表彰される

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