2010年1月から綴ってきたブログをマイナーチェンジしました。09年にはアメリカで初の黒人大統領オバマが誕生し「CHANGE]という言葉が流行語となりましたし、わが国でも政権交替が行われました。 このブログでは歴史ある地元紀州の「温故」と「知新」に倣って、さらに一歩踏み込んだ「創新」を視点として「温故創新」を採り上げて参りましたが、「街おこし」に熱心に取り組まれておられる方々とも連携しながら、さらなる充実を図ってゆきたく、タイトルも[徒然なるままに地元の『温故創新』を訪ねある記]と、より視点を明らかにしました。 なにとぞ、従来にも増してご支援下さるようお願い申し上げます。
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2010年1月16日土曜日
17日・ 「創造力」と『記憶力」その2. 疑いをもたない秀才よりも、成績が悪くとも疑いをもった方がよい!.
塩野七生 「演題:21世紀にどう入っていくか」から
今日は17日、多大の犠牲を出した阪神大震災から15年、国外ではハイチの大地震で死亡者数が20万人にも達するとか、政治の世界では政権与党の民主党小沢幹事長の献金問題で大激震が走っている。はたしてこの行方はいかなることになるのだろうか、国民挙げて注目の的である。
昨日に続いて今日は作家塩野七生氏のお話をうかがうことにしましょう
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塩野 七生(しおの ななみ、1937年7月7日 - )は、日本の小説家。女性。 「七生」の名は、7月7日の「生まれ」であることに由来する。作家としては『ローマ人の物語』全15巻は好評で多くのファンをもつ。氏の語り口は、女性にしては本質を見極め、歯に衣を着せぬ辛辣な表現がファンをひきつけている。
受賞・1970年 毎日出版文化賞・82年 サントリー学芸賞『海の都の物語』・83年 菊池寛賞
1993年 新潮学芸賞『ローマ人の物語Ⅰローマは一日にしてならず』
99年 司馬遼太郎賞・2000年 イタリア共和国功労勲章(グランデ・ウッフィチャーレ章)
2005年 紫綬褒章・07年 文化功労者
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来歴・人物
東京都生まれ。東京都立日比谷高等学校、学習院大学文学部哲学科卒業。父親は、神田神保町の古本屋から軒並み借金をするほどの読書好き。日比谷高校時代は庄司薫、古井由吉らが同級生だった。1963年からイタリアへ遊学し、1968年に帰国すると執筆を開始。雑誌『中央公論』掲載の『ルネサンスの女たち』で作家デビューを果す。1970年には『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』で毎日出版文化賞を受賞。又同年から再びイタリアへ移り住む。ローマ名誉市民を経て、イタリア人医師と結婚(後に離婚した)。一子あり。イタリア永住権を得ており、現在もイタリアの首都・ローマに在住。舞台をイタリア中心に限定し、古代から近世に至る歴史小説を多数執筆し続ける。チェーザレ・ボルジアやネロのような血統と魅力と能力に恵まれた男性権力者、特にユリウス・カエサルの熱烈な崇拝者で、政治家としての理想像はカエサルであると公言している(反面、カエサルを「寝取った」クレオパトラや、チェーザレとの関係が噂されたルクレツィア・ボルジアのような「恋敵」への評価はかなり辛辣である)。執筆活動はイタリアで行っている。また、現在の政治家として英国のトニー・ブレア前首相を高く評価しており、その理由として「誠心誠意、言葉を尽くし訴える姿勢」を挙げている。ブレアは後年、イラク戦争参戦で激しい攻撃を受けるが、一方で反対勢力に対し最も言葉を尽くしてその大義を説いていたのもブレアである。
1992年から古代ローマを描く『ローマ人の物語』を年一冊のペースで執筆し、2006年第15巻『ローマ世界の終焉』にて完結した。『ローマ人の物語』は現在でも文庫版で刊行を続けており、多数のファンを獲得している。現在も『文藝春秋』でエッセイを担当しており、歯に衣着せぬ論評が好評を博している
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疑いを持たない秀才よりも成績が悪くても疑いを持ったほうがいい!
私の出た高等学校は東京都立の日比谷高校です。今は知りませんが、私がいた頃の日比谷高校には、日本中の秀才が集っていたんです。私は秀才ではありませんでしたけれど。中にはノーベル賞を受賞した利根川進さんもいました。
それで、そういう秀才たちが今どういうところに就いているのかというと、大企業の大変いいところか、それとも官庁のずっといいところにいる人が非常に多い。そして、最近は不祥事なんかが起きると、しばしば名を連ねています。
そういう中にいて、少女時代の私は成績が悪かったものですから、どうして彼らは成績がいいんだろうと考えたんです。彼らがみんな記憶力がいいという事実は、やはり認めざるを得ませんでした。 でも、記憶力というのは、今やコンピュータなどがあるわけですから、もう絶対に必要な能力だとは言えません。
そして、次にわかったのは、そういう成績のいい人たちは、みんな、先生の話に疑いを持たない人たちだということでした。疑いを持たないから、先生の話がすうっと耳に入ってくるわけでしょう。
ところが私を始めとする成績の悪い生徒は先生が言った一言がびゅっと頭の中にくると、その刺激で連想につながって、すっかりほかのことを考えてしまうんです。そのため、その後の先生の話は一切頭に入ってこないようになってしまう。ですから、当時は、疑いをもたないことが秀才になる一つの要因だ、なんて思っていたくらいです。
しかし、そうではないんですね。やはり疑いを持ったほうがいいんです。何にでも疑いを持つということは、後々まで役立つことだなと、今はつくづく思っています。たとえ、学校の成績がよくなくても、疑いを持ったほうがいいということですね。
16歳の頃にはまったことに今もはまったままでいる
はっきり言うと、先生の話に刺激を受けてほかのことを連想することは、決して欠点ではないのです。そういう刺激を受けた途端にそれに反応するというのは、好奇心が強いという証拠なのです。この好奇心だけは、私はやはり人並みにあったような気がします。
16歳の頃、ある本を読んで、それでたちまち私は地中海世界にはまってしまいました。もうその年にはギリシャ語とラテン語をはじめました。当時はどこにも教えてくれるところがなかったので、独学で始めたんです。
大学でも、ギリシャ語とラテン語を学びたいと思いました。それを教えている先生が東京大学にいらっしゃるので、私は東京大学を受けました。そうしたら、ものの見事に落ちちゃいました。
当時の日比谷高校では、最初の3分の1はそのままストレートに東大へ行き、次の3分の1は一浪して東大へ行くという学校だったのです。一浪するぐらいは何でもなかったのですけど、私の場合は「どうも一浪してもは入れないなあ」と見極めをつけてざるを得なかったわけです。
東大でギリシャ語を教えているという先生は、呉茂一という方でした。東大を諦めざるをえなかった私はどうしたかというと、その先生がほかに何処かの大学に出張講義をしておられるのだろうかと探したんです。そうしたら学習院大学でも教えていらした。で、学習院大学なら入れるだろうと思って受けまして、先生の指導を受けることができたんです。
考えてみれば、私は16歳の頃にはまっちゃったことに、今もまだ、はまったままでいるんですね。それがよかったか、悪かったかは別として。
しかし、本当を言うと、私の高校時代は孤独でした。ギリシャ、ローマなんていっても、同級生の誰一人として関心を持つ人がいなかったからです。誰にも理解してもらえなかったんですから。あの当時を思い出すと高校時代の同期会にはあまり行きたくない気もするのです。
好奇心が文明というものを生み出した
好奇心を働かせることで他者から受けた刺激をもとにして何か新しいものを創造するという現象は、文明の発祥にしばしばつながります。
一つの例が地中海です。なぜあそこで三大宗教のうちの二つまでが生まれ、哲学が生まれ、民主主義体制までふくめたすべての政体が生まれたのか。それは、舟で行き来する程度の交通手段しかなかった時代にとって、ちょうどいい大きさだったからだと思うんです。異分子がぶつかり合うのにちょうどいい広さだった。
だからギリシャでも、ギリシャ文明の最初はアテネから始まってはいません。現在ではトルコになりますが、小アジアの西岸地帯のイオニア地方というところから始まりました。
あの一帯には良港が沢山ありまして、オリエントのものとオチデント(西洋のこと)各地方からの物産が集ってきたんです。
そうやって商品が運ばれてくるということは、人間が運ばれてくるということでもあります。人と物の往来が激しいということは、別の考えも入ってくるということです。
そういうところには刺激があります。刺激を受けそれに反応することによって、始めて新しいものが生まれるのです。新しい物が生まれるというのは、つまり、いろいろの刺激というものを好奇心でフォローして、それを自分の中で耕すことによって成されるからでしょう。
それは、例えば、饅頭一つ作るのでも違ってくるのです。小豆の代わりにクリームを入れてみたらどうだろうかというように。そういう小さいことにまで、何か違った要素が入ってくるのです。
そうして、新しいものが作られていくわけです。この意味でも、好奇心というのは大切なんです。
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こんばんは。
返信削除記憶力を3.5もつけてくださってありがとうございます!
そんなにないと思うんですが・・・。
塩野さんの本、おもしろそうだけどまだ理解でないような気がして読んでいません。
16歳からもう今の方向性を見出してらしたんですね。
私は大学出てもずっと何をしたいかよくわからなかったなあ。
現役のときは神戸外大のフランス語学部を受けて落っこちて、次が経営学部。
脈絡ないですね。
RE: megumeguさん
返信削除わたしも彼女の本は少ししか読んでませんが、才能がある絶対的な権力者に憧れをもっているみたいで、ネロやユリウス・シーザーを崇拝しているみたいです。小説を書くに当っては史実を相当調べて執筆してるみたいで、書き上げるペースは遅いです。女流にしては、ハッキリした物言いでなかなか辛辣で手厳しい面があります。書いてるのは古代、中世のギリシャやイタリアが中心ですので、歴史を避けられているmeguさん好みの作家ではないかも知れません。
しげやん^-^おはようございます^^
返信削除今日はとてもいい天気ですね^^
さてこの塩野七生さんという方atitiは全く知りませんが
疑問を持つことはいいことだと思います!
先日、TVでもその疑問の事放送してたらしいですね^^
atitiは見ていませんでしたが・・・何かを発明したりする人は何でもない事を疑問に思うようですね^^
好奇心旺盛は大事な事ですね^^
atiti
RE* atitiさん
返信削除この女流作家は、しげやんより2歳年下でローマに住ん
でいます。彼女が書いた『ローマ人の物語』全15巻は
大作で大きく評価されています。彼女は今までの功績が
認められて05年紫綬褒章、07年文化功労章を受章し
ています。文化人としては最高クラスに位置する評価で
す。
つぎのUP予定ですが、改善とか創造とかは、現状を否定
することから始まります。現状に留まるのでは十年一日
で、何の進歩もないでしょう!