甲子園の高校野球試合で歴史に残る名勝負として今でも語り継がれているモノがある。星稜の相手は同じ和歌山だが尾藤監督率いる「箕島高校」であったが、今回は相手はこの夏激闘を繰り広げた智弁和歌山だった  
(29日、国体高校野球 智弁和歌山3―1星稜

 今夏の全国高校野球選手権屈指の名勝負となった星稜(石川)と智弁和歌山の延長14回の激闘。29日、国体の高校野球(硬式)がノーブルホームスタジアム水戸(水戸市)で開幕し、第1試合で、その再戦が実現した。夏に敗れた智弁和歌山が、選手権で準優勝した星稜に雪辱した。
 全国選手権3回戦。強打の智弁和歌山は、星稜のエース奥川に翻弄(ほんろう)された。延長14回で3安打、1得点に抑え込まれ、23もの三振を奪われた。無死一、二塁から始まるタイブレークに突入した延長十三回、十四回も本塁を踏めず、サヨナラ3ランを喫して1―4で敗れた。
 約1カ月半後のこの日、星稜のマウンドには再び奥川。突破口を開いたのは主将で3番の黒川だ。三回1死一、二塁で左打席に。147キロに振りまけず右前に運んで先制点を奪った。2死後、5番佐藤も右前適時打で続いた。
 今夏の対決では1番に入った黒川は6打数無安打。「(星稜は)一番、やりがいがある、野球を楽しめる相手。甲子園で負けてから毎日、奥川をイメージして素振りをしてきた」
 2失点に苦笑を浮かべた奥川はその直後にこの日、最速となる150キロを出した。四回2死一塁で降板し、被安打6、奪三振5、2失点。これが高校野球最後の公式戦となった。「点を取られたことも、内容もよくなかった」と言いつつも、「こうやっていいチームと試合が出来て楽しかった。いい仲間と巡り合えて、いい3年間でした」。穏やかな表情に充実感がにじんだ。