「那智の田楽」世界無形文化財に登録される!
世界の優れた伝統文化としてユネスコ=国連教育科学文化機関が保護の対象とする「無形文化遺産」に和歌山県の民俗芸能、「那智の田楽」が、新たに登録されました。日本から今年提案され、11月の事前審査では「登録見送りが妥当」とされていたが、パリで開かれている本会議(政府間委員会)で逆転登録が決まった。 これは、今月3日からパリで開かれているユネスコの政府間委員会で決まったものです。
日本から新たに無形文化遺産に登録された那智勝浦町の民俗芸能、「那智の田楽」は、毎年7月に行われる那智の火祭り の際、熊野那智大社の氏子たちが(笛や太鼓の音色に合わせ五穀豊穣を祈って奉納する舞です。
那智の火祭(扇立祭) |
「那智の田楽」は、14~15世紀、京都の田楽法師が伝えたとされ、元は豊作を祈って演じた芸能。笛の音に合わせて「ビンザサラ」「締太鼓(しめだいこ)」などの楽器を鳴らしながら、様々に陣形を変えて踊る。毎年7月14日に熊野那智大社の「火祭り」で奉納され、昭和51(1976)年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。ユネスコの「無形文化遺産」は世代から世代へと伝承されてきた「生きた遺産」を保護するもので、国内の登録件数は、これで21件になりました。
これについて、那智の田楽保存会会長で、熊野那智大社の朝日芳英宮司は「熊野那智大社や那智の滝がすでに世界遺産に登録されていますが、それとともに那智の田楽が世界遺産になり感激の極みです。先人の苦労を伝承し去年の豪雨災害の際には保存会の会員の不撓不屈の気迫で保持することができました。今後も那智の田楽を伝承していきます」という内容のコメントを出しました。
那智勝浦町の寺本眞一町長は「熊野の文化が世界に認められた証であり大変うれしく思います」とコメントしています。また、和歌山県の仁坂知事は「たいへんうれしく思います。去年の台風12号で多大な被害を受けた熊野那智大社をはじめ那智勝浦町の方々に大いに勇気を希望を与えることでしょう。今回の無形文化遺産決定を復興のシンボルとして今後も地域の振興をはかっていきたいと思います」というコメントを発表しました。
有形の建造物などを登録する世界文化遺産とは違い、無形文化遺産制度は、祭りや社会慣習など形のないものを保護、尊重することを目的にしている。2003年に条約がユネスコの総会で採択され、これまでに延べ232件が登録されている。日本からは歌舞伎や能楽のほか、京都祇園(ぎおん)祭の山鉾(やまほこ)行事(京都)、甑島(こしきじま)のトシドン(鹿児島)、日立風流物(ふりゅうもの=茨城)、アイヌ古式舞踊(北海道)など20件が登録されており、来年は「和食」の登録審査が行われる予定。
【那智の田楽】
毎年7月14日に那智大社で行われる那智の火祭で奉納される芸能で、扇神輿の出御に先立って大和舞・田楽舞・田植舞が奉納されます。伝承では応永年間(1394~1428)京都の田楽法師が伝えたものとされています。笛の音に合わせ、ビンザサラや締太鼓などの楽器を鳴らしながら陣形を替えて踊るのが特徴で、芸能次第としては乱声、鋸歯、八拍子など20余種の古風な演技法が伝えられています。
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