「アリとキリギリス」というイソップ寓話は誰しもがご存じと想うが、案に相違してアリの世界にも「働きアリ」と「働かないアリ」がいることが、相当前から知られていた。
アリとキリギリス |
人間社会にもアリと同じようなことが存在していて、これを「パレートの法則」、または「80:20」の法則とも云う。本題のアリの話に入る前に、「80:20の法則」についてチョット触れておこう。 というのもアリと人間はよく似ているからである。
・「80対20の法則(80/20 rule)」
成果や結果の8割は、その要素や要因の2割に基づくという一般法則。「2:8の法則」「80-20ルール」「にっぱちの法則」などともいい、「パレートの法則(Pareto's law)」、「パレート原則(Pareto's principle)」と称する場合もある。
「全所得の8割は、人口の2割の富裕層が持つ」(パレートの法則)、「故障の8割は、全部品の2割に起因する」(パレート原則)、「文章で使われる単語の8割は、全単語数の2割に当たる頻出単語である」(ジップの法則)、「売り上げの8割は、全顧客の2割に依存している」、「ソフトウェア開発工数の8割は、全コードの2割の部分に割かれている」など、さまざまな現象・場面に見られる。
古くから一種の経験則として知られていたが、2000年にゼロックス・パロアルト研究所(当時)のレダ・A・アダミック(Lada A. Adamic)がこうした現象をべき法則(power law)の一部として解釈できることを示した。複雑ネットワークの分野ではスケールフリーネットワークにおける一般的現象であると解釈されている。
今回はこの80:20の法則ではなく、アリの世界の話である。
実は「働かないアリに意義がある」という本のタイトルに興味を覚え、速読してみたが、その要点をお知らせしたくてキーを打った次第である。
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以下アリの世界から!
「働かないアリに意義がある」という名の本!
働かないアリがいるとこによって、組織は存続できるという驚きの事実を教えてくれる1冊
・アリの世界(目次)
■アリは働きものではなかった!
・実は巣の中の7割のアリが働いていない
・しかも中には一生涯労働らしいことをしないアリもいる
■アリのお仕事にも2種類ある
・食料(エサ、主に昆虫の死骸など)を見つけて運ぶこと
・コロニーを守る仕事(女王の世話、卵の世話、巣の拡張や修繕)
・特に卵の世話は短時間でも途切れると、次世代がいなくなるのでコロニーが全滅する危機に陥る
■危険な仕事ほど年寄りがするアリの社会
・アリははじめのうちは安全な仕事をする
・年をとると危険なエサ探しに異動になる
・年寄りなので余命が短く死んでも損がないため
■働かないアリはなぜいるのか?
・予測不可能性=世界は予測不可能で常に変動している
・アリの世界も予測不可能性で、急にエサが見つかることもある
・そのときに全員でエサを回収しにいっては、コロニーを守る仕事をするアリがいなくなる
・ここで余力を残している働かないアリが働きはじめる
■上司がいないくても仕事が回るのは?
・アリはフェロモンという科学物質を持っている
・エサを見つけたアリはエサから巣まで地面にフェロモンをつける
・フェロモンを感じたアリがたどっていき、一斉に作業にとりかかる
・必要に応じて必要な数が動く、情報伝達手段があるため、管理するものがいらない
働かないアリがいることで組織が長生きできる
■反応閾値((はんのういきち)=「仕事に対する腰の軽さの個体差」といいます)モデル
・反応閾値=仕事に対する腰の軽さ
・アリは固体によって、この反応閾値がそれぞれ異なる
・反応閾値が低いものが、小さな刺激(ちょっと空腹だななど)で動きだす【働くアリ】
・人間でいえば綺麗好きな人もいれば、そうでない人もいるようなもの
■反応閾値が異なることで、コロニーは守られている
・もしも固体差がなかたかったら、みんな同じタイミングでエサを取りに行く
・コロニーを守る仕事をするアリがおらず、全滅の危機になってしまう
・固体差があるからこそ、コロニー全体では臨機応変に動くことができる
■みんなが疲れると社会は続かない
・シミュレーション上で「反応閾値が同じコロニー」「反応閾値が異なるコロニー」を想定
・労働効率は反応閾値が同じほうが大きかった
・ただし一定時間働かないとコロニーが死滅するという条件だと、異なるほうが長い時間存続できた
■働かないアリがいることで、世界の消滅の危機は救われている
・反応閾値が同じ=みんながいっせいに働くと、疲労がたまり働けなくなる時間帯がでてくる
・短い時間でも働けないと、卵の世話など大切な仕事をするアリがいないので全滅しやすくなる
・働かないアリがいる非効率的なシステムのほうが長い時間を考えたら重要だった意義がある働かない奴のおかげで世界は消滅の危機から救われている ※ただし、アリに限っての話
働きたくないって言葉は悪であるという考え方がありますが、意外なことに働きもののイメージがあるアリの中にも働かないアリがいて、しかも働かないアリのおかげでアリの世界は成り立っていることをご存知でしょうか?
今回はなぜ働かないアリにも意義があるのか、その理由をご紹介します。今回の研究の結果分かったことは・・・
アリのコロニー内の労働制御機構としては、仕事の出す刺激値に反応する程度に個体差があることから、次々に現れる仕事の刺激に反応しやすい個体から仕事が配分されるという仮説では、常に働く個体とほとんど働かない個体がいつも存在し、働く個体だけにしても一部は働かなくなると予想されてきた。
こうした予想に対し研究グループでは今回、シワクシケアリのコロニーを飼育。このコロニーでは、働きアリの働き度合いに大きなバラつきがあり、常に働く個体からほとんど働かない個体まで存在していたが、個体識別した上で各個体の働き度合いを調べ、よく働く個体だけ、あるいは働かない個体だけでコロニーを再構成し、再度働き度合いの観察を行い、コロニー全体の働き度合いの分布がどのように変化するか調査を行った。
この結果、働く個体だけにしても働かない個体が現れ、働かない個体だけにすると働く個体が現れ、グループ全体の個体の働き度合いの分布は常に元のグループと同じようになることが確認された。
また、働き度合いのバラつきの大きさは偶然によって生じるものよりはるかに大きく、何らかの機構によって再現されると判断されるという結論を得たという。
この個体の働き度合いは産卵能力や年齢とは無関係で、選抜された個体の中に残っていた仕事の刺激に対する反応の強さの差が、働き度合いの分布を元に戻すと考えられるとのことで、このことはアリが一部の個体が常に働かなくなるようなシステムを、労働の制御機構として自主的に採用していることが明らかにされたことを意味するとしている。
なお、研究グループでは、今後の研究により、全員が働いた方が短期的な効率は高いにも関わらず、一部の個体が常に休むという短期的には効率が悪いシステムの方がなぜ採用されているのか、という疑問の解明が進むことが期待されるとコメントしている。
■アリのお仕事は外勤と内勤の2種類
まずアリの世界にも仕事があり、それを大きく分けると下記の2種類があります。1. 食料(エサ、主に昆虫の死骸など)を見つけて運ぶこと
2. コロニーを守ること(女王の世話、卵の世話、巣の拡張や修繕など)
人間の目に映るのは巣の外だけなので、食料を運ぶことしか仕事がないように思ってしまいがちですが、巣を守る仕事も大事な役割です。特に卵の世話は短時間でも途切れると、次世代がいなくなりコロニーが全滅する危機に陥ることにもなりますので、組織を守る上では大事な仕事です。
■アリの7割は働いていない
童話「アリとキリギリス」や、働きアリという名称からも働きもののイメージがあるアリですが、意外にも巣の中を取り出して観察したところ、7割ものアリが働いていないことが判明しました。一匹一匹を取り出して検証してみたところ、働かないアリの中でも、生涯にわたって労働らしい労働をしないアリがいることも分かっています。
■働かないアリでも緊急事態では役に立つ
では働かないアリが働くときはいつでしょうか? それは緊急時です。アリの世界では、エサは探せば見つかるわけではありません。セミが死んで地面に落ちてきて、急にエサが現れることもあります。もしも突然エサが現れたときに、巣にいる全てのアリでエサを回収しに行ったらどうなるでしょうか? 巣の中で大切な卵を守る仕事をするアリがいなくなってしまいます。その緊急時に、余力を残している働かないアリが働きはじめます。つまり、緊急事態には働かないアリが役に立つのです。
■反応閾値が異なることで、コロニーは守られている
反応閾値とは、仕事に対する腰の軽さのことです。人間でいえば綺麗好きな人もいればそうでない人もいるように、アリの世界では固体によって反応閾値がそれぞれ異なります。反応閾値が低いアリが、ちょっとした空腹などの小さな刺激で動きだす「働くアリ」のことです。もしも反応閾値に固体差がなかったら、みんな同じタイミングでエサを取りに行くことになります。そうなると、コロニーを守る仕事をするアリがいないため、全滅の危機になってしまいます。反応閾値に固体差があるからこそ、コロニー全体では臨機応変に動くことができています。
■働かないアリがいることで、アリの世界は消滅の危機から救われている
全てのアリが「反応閾値が同じ場合」と「反応閾値が異なる場合」の2つをシミュレーションしたところ、労働効率は「反応閾値が同じ場合」の方が大きいということが分かりました。ただし、一定時間働かないとコロニーが死滅するという条件を加えると、「反応閾値が異なる場合」の方が長い時間コロニーが存続したことも判明しました。「反応閾値が同じ場合」には、みんなが一斉に働くと、疲労がたまって働けなくなる時間帯がでてきます。短い時間であっても誰も働けない状態に陥ると、コロニーを守るという大切な仕事をするアリがいなくなるので全滅しやすくなるそうです。つまり、働かないアリがいる、一見非効率的なシステムの方が、巣全体を長く存続させることを考えたら重要だったことが分かってきたのです。
働かないアリにも、組織を長生きさせるためには重要な役割があります。なので働かない人を見つけても、緊急事態には役に立ち、組織を長く存続させるには必要なのだと思って責めないであげましょう。
-------------------------「アリのコロニー」とは・・・!
蟻の社会はコロニーと呼ばれる女王を中心とした集団で生活しています。
最大の特徴は仕事の「分業」です。それぞれの蟻には役割があり、巣の中で仕事を分担して生活しているのです。
アリのコロニー |
・女王蟻
巣内でひときわ大きな蟻で、ひたすら卵を産むことを役割としています。蟻の生活の中で、仲間を増やすことはとても大切な役割なので、大きく強い巣でも女王蟻が死んでしまえば崩壊してしまうのです。
そのため女王蟻は巣の一番奥の安全な場所で数多くの働き蟻に守られ生活します。
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