前回、根来寺に隣接して「岩出市民俗資料館」を設置しており、館内の根来塗工房では、製作工程の見学も可能となっている。と、書いたがこの工房を主宰するのはこれから書こうとしている根来寺認定「根来塗」第1号を授かった漆芸作家・池ノ上曙山(いけのうえしょざん)さん、その人である。
この漆芸作家のことについては、このブログでも採り上げてきたが、最近漆芸作家としては偉大なる賞を受賞されたのでそのことを含めて、この作家がつくる「根来塗」に込める魂とでも云える氏の信念や活動を披露したく、ここに紹介するこことする。
池ノ上さんに徳川宗敬賞 日本漆工協会 :(「わかやま新報」11月14日 号より)
(特例社団法人 日本漆工協会が毎年「うるしの日」(11月13日)に漆工界に大きな功労を挙げた人達に「漆工功労者賞」・「徳川宗敬賞」(漆工界の功労者として)・「優秀漆工技術者賞」・「永年勤続漆工従業員賞」の部門で表彰を行っている。池ノ上曙山氏は「根来塗」で受賞した)400年以上生産が途絶えていた 「根来寺根来塗」 の復興に尽力したとして、 岩出市の塗師・池ノ上曙山(しょざん)さん (53) が日本最大の漆工団体・ 日本漆工協会 (東京都、 三井之乘会長) から 「徳川宗敬賞」 を受けた。 池ノ上さんは 「根来寺根来塗が産地として認められたことが何よりうれしい」 と話している。
池ノ上さんは6年前、 同団体から優れた技術を認められ、 「優秀漆工技術者」 表彰を受けており、 徳川宗敬賞はその上の賞に当たる。 このほど東京都の明治神宮で表彰式が行われた。
現在全国に広まっている根来塗は、 岩出市の根来寺周辺が発祥の地とされる。 天正13年 (1585) の豊臣秀吉の根来攻めにより、 同地での生産が途絶えていた。
池ノ上さんは古物ファンの父の影響もあり、 漆器の修復や鑑定の仕事をしていた。 28歳の時、 根来塗研究の第一人者である河田貞氏に師事。 昔ながらの技法により、 産地としての根来寺根来塗を復活させた。
池ノ上さんにとって根来塗は 「道具」。 「これは飾り物ではない。 使うことで古びていく様が面白い」 といい、 生活の中で使うほど朱色が鮮やかになり、 傷さえも味になるとその魅力を語る。
現在は多くの人に根来塗の文化を知ってもらおうと、 小・中学校の出前授業などで魅力を伝えている。 同市民俗資料館内の根来塗工房で活動し、 人材育成にも取り組んでいる。 「文化を知ることが大切。 生まれた土地の文化に接することで故郷に自信を持ってほしい」 と話している。
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地元の根来塗知って、「曙山会」を主宰する池ノ上氏が中学生に講演・(「わかやま新報」10月01日号より)
「根来塗」を紹介する池ノ上さん |
地元特産の根来塗について知ってもらおうと、 根来塗曙山会 (池ノ上曙山宗家)は9月27日、 岩出市根来の民俗資料館に岩出中学校1年生284人を招いて講演会を開いた。
同校の地域学習の一環で、 毎年1年生を対象に開催。 池ノ上さんらはスライドを使って約500年前の作品を紹介し、 当時、 金と同等の価値があるとされていた鉱物 「辰砂 (しんしゃ)」 を顔料に使っていたことや、 国指定重要文化財 「布薩たらい」 について説明した。
またオークションで3000万円の値が付いたという 「瓶子 (へいし=酒の器)」 の紹介もあり、 生徒らは興味を示していた。
質問コーナーでは、 生徒らはオークションの最高額や、 一つの作品に費やす時間などを尋ねていた。
池ノ上さんは 「根来には世界的に有名な根来塗があるということに自信を持ってほしい」 と呼び掛けた。 竹原優君 (13) は 「根来塗について何も知らなかったけど、 説明を聞いてすごく高価で有名なものだと知った」 と話していた。 (以上「わかやま新報」・10/01号より)
同氏は各地で講演会を催し、「根来塗」についてその歴史や作品紹介するなど「根来塗」の本来のよさを紹介に務める等余念がない。そして「根来塗」を将来に残してゆくため曙山会で弟子の育成にも心血を注いでいる日々である。
制作過程 |
池ノ上曙山作品 |
「根来塗」展示会と池ノ上氏 |
地元和歌山としても根来寺および根来塗のPRに、これ務める必要が大いにありだと思う。そこで弟子のお一人に登場願い日々の修行についてお尋ねした。
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(「ニュース和歌山」2012..3.21号「紀州の伝統 つなぐ4人」より)
以上
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