最優秀賞作品優秀賞・松下千恵審査員賞
『うさぎの恩返し』・海南三中3年山下 翔太郎さん
むかし、むかし、とある山奥の一軒家に、仲がよく、心のやさしいおじいさんとおばあさんが住んでいました。
その夜、一匹の野うさぎがおじいさんの家に忍びこんできました。
そう、このうさぎは最近いろいろな物を盗んでいく、悪いと評判の「うさ吉」といううさぎでした。
うさ吉が家の中を物色していると、ふととてもよいかおりがしてきました。
うさ吉はにおいのする方によって見るととても驚いた様子で、「こ、これは松茸じゃないか、どうしてこんな高価な物がこんなボロボロの家にあるんだよ。
そう、このうさぎは最近いろいろな物を盗んでいく、悪いと評判の「うさ吉」といううさぎでした。
うさ吉が家の中を物色していると、ふととてもよいかおりがしてきました。
うさ吉はにおいのする方によって見るととても驚いた様子で、「こ、これは松茸じゃないか、どうしてこんな高価な物がこんなボロボロの家にあるんだよ。
「うさ吉」 |
翌朝、おじいさんは、おばあさんの叫び声で目が覚めました。「キャー、じいさん、じいさん」「うん、なんじゃい、こんな朝早くから」「じいさん、それどころじゃないんだよ。松茸が、松茸が…」と言っておばあさんはショックのあまり気を失ってしまい、そして寝込んでしまいました。
松茸が盗まれてから二日目の朝、うさ吉はおじいさん達の様子をうかがいにおじいさんの家に行きました。すると、おじいさんは山に出ており、寝込んだおばあさんだけ家に居ました。それを見たうさ吉は、「きっとおいらが松茸をとっていったせいだ」と思い、なにもしないで自分のすみかに帰っていきました。 ですが、すみかではずっとおじいさんとおばあさんの事を考えていました。そして一つ思い浮かんだのは「おじいさん達に毎日何か持っていこう」というものでした。その日の晩から山に何かを探しに出て、それを毎日夜遅くおじいさんの家の玄関の前に置いてゆきました。おじいさん達も毎日そのみつぎ物を見つけては、神様に感謝していただいておりました。
うさ吉が物をみつぎ始めてから、ちょうど一年がたったある日の晩、いつものように玄関にとってきた木の実などを並べていると、玄関の引き戸が急に開き、中にはおじいさんとおばあさんが立っていました。うさ吉ははっとなって逃げようとしましたが、おじいさんが大きな声で、「待ってくれ、こっちに戻ってきてくれ」と叫んだため、うさ吉はしぶしぶ戻って行きました。
改心した「うさ吉」 |
それをずっと後ろで聞いていたおばあさんが、「あなたは一人ですか」とやさしく聞くと、うさ吉は「はい」と弱々しく答えました。
おばあさんは、「一人なら私たちと一緒に生活をしましょう。一人だとさみしいでしょ」と言ってくれたのでうさ吉も納得して、おじいさん、おばあさん、そして一匹のうさぎで仲良く三人で暮らしていきましたとさ。めでたし、めでたし。
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わかやま絵本の会代表の松下千恵審査員…
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