あらぎ島が国の重要文化的景観へ(和歌山県)、県内初!
国の文化審議会は、このほど、有田川(ありだがわ)の蛇行(だこう)によって形作られた棚田が連なる有田川町清水(しみず)の「あらぎ島」とその周辺の農山村風景を、国の「重要文化的景観」に選定するよう文部科学大臣に答申しました。
緑の色鮮やか!「あらぎ島」 |
近く答申通り告示される見込みで、「蘭島(あらぎじま)および三田(みた)・清水(しみず)の農山村景観(のうさんそんけいかん)」として、県内初の国の重要文化的景観となります。
江戸時代から整備された「湯」と呼ばれる水田の灌漑(かんがい)水路網=有田川町清水・県教委会提供
重要文化的景観の対象地域は「日本の棚田百選」としても知られる蘭島を含む同町清水と三田地区の計約110ヘクタール。
清水地区の蘭島は、蛇行する有田川の地盤が浸食を繰り返してできた河岸段丘。江戸初期の17世紀、地元の大庄屋が中心になって棚田をつくり、周囲に「湯(ゆ)」と呼ばれる用水路を整備した。今も水利組合長のもとに水守(みずもり)がおり、水路の管理や補修を地元農家が共同でしている。
(「あらぎ島」の四季風景!)
悠仁さま(秋篠宮・紀子さまご長男)お誕生日祝賀点灯 (紀子さまの川嶋家の遠祖が有田川町ご出身) |
「高野槙」 悠仁さまのお印が「高野槙」で、高野山はここから役20km 北にあり、空海が開設した「古義真言宗」の総本山である。 そこに備えられるのが「コウヤマキ」である。 |
「あらぎ島」は、有田川上流の蛇行部で、丸く張り出した独特の形をした棚田で、江戸時代の1655年(明暦(めいれき)元年)から、灌漑(かんがい)用水路と水田が整備され、それを管理する水利組合も組織されて、現代にまで受け継がれる形で耕作が続けられ、水路の補修や清掃などが共同で行われています。また、周辺の山畑では、和傘などに用いられた保田紙(やすだがみ)の原料となるヒメコウゾのほか、棕櫚(しゅろ)や茶、山椒(さんしょう)などが栽培されています。「山椒」は有田川町の特産品で、全国生産のおよそ8割が、ここ有田川町で収穫されています。
これら、河岸段丘(かがんだんきゅう)という限られた地域で続けられてきた農業と山の利用、それに美しい地形が、国の文化的景観とするにふさわしいと評価されたもので、県内では初めて、全国では、あらぎ島など3件を加えて、38件となりました。
あらぎ島は、農林水産省の「日本の棚田百選」にも選ばれています。また、今年11月8日・9日には、有田川町で「全国棚田サミット」が開かれます。
ここで、「文化的景観」とその上の「重要文化的景観」について、少し学んで見たいと思います。
1. 文化的景観とは
文化的景観とは,以下の文化財を指します。
地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの(文化財保護法第二条第1項第五号より)
文化的景観は,日々の生活に根ざした身近な景観であるため,日頃その価値にはなかなか気付きにくいものです。文化的景観を保護する制度を設けることによって,その文化的な価値を正しく評価し,地域で護り,次世代へと継承していくことができます。
文化的景観の中でも特に重要なものは,都道府県又は市町村の申出に基づき,「重要文化的景観」として選定されます。
重要文化的景観に選定されたものについては,現状を変更し,あるいはその保存に影響を及ぼす行為をしようとする場合,文化財保護法により,文化庁長官に届け出ることとされています。
ただし,通常の生産活動に係る行為や非常災害に係る応急措置等においては,この限りではありません。
また,文化的景観の保存活用のために行われるさまざまな事業,たとえば調査事業や保存計画策定事業,整備事業,普及・啓発事業に対しては,国からその経費の補助が行われます。
重要文化的景観の選定制度は,平成16年の文化財保護法の一部改正によって始まった,新しい文化財保護の手法です。
2. 重要文化的景観について
平成25年4月1日現在,全国で35件の重要文化的景観が選定されています。今回新たに地元有田川町の「あらぎ島」等3件が加わって38件になる見通しです!
- 1 アイヌの伝統と近代開拓による沙流川流域の文化的景観
- 2 遠野 荒川高原牧場 土淵・山口集落
- 3 一関本寺の農村景観
- 4 最上川の流通・往来及び左沢町場の景観
- 5 利根川・渡良瀬川合流域の水場景観
- 6 佐渡西三川の砂金山由来の農山村景観
- 7 金沢の文化的景観 城下町の伝統と文化
- 8 姨捨の棚田
- 9 近江八幡の水郷
- 10 高島市海津・西浜・知内の水辺景観
- 11 高島市針江・霜降の水辺景観
- 12 宇治の文化的景観
- 13 奥飛鳥の文化的景観
- 14 樫原の棚田
- 15 遊子水荷浦の段畑
- 16 四万十川流域の文化的景観 下流域の生業と流通・往来
- 17 四万十川流域の文化的景観 上流域の農山村と流通・往来
- 18 久礼の港と漁師町の景観
- 19 四万十川流域の文化的景観 上流域の山村と棚田
- 20 四万十川流域の文化的景観 源流域の山村
- 21 四万十川流域の文化的景観 中流域の農山村と流通・往来
- 22 求菩提の農村景観
- 23 蕨野の棚田
- 24 長崎市外海の石積集落景観
- 25 佐世保市黒島の文化的景観
- 26 平戸島の文化的景観
- 27 五島市久賀島の文化的景観
- 28 小値賀諸島の文化的景観
- 29 新上五島町北魚目の文化的景観
- 30 新上五島町崎浦の五島石集落景観
- 31 天草市﨑津・今富の文化的景観
- 32 通潤用水と白糸台地の棚田景観
- 33 別府の湯けむり・温泉地景観
- 34 小鹿田焼の里
- 35 田染荘小崎の農村景観
遠野 荒川高原牧場 土淵・山口集落
(岩手県遠野市)
(岩手県遠野市)
最上川の流通・往来及び左沢町場の景観
(山形県大江町)
(山形県大江町)
天草市﨑津・今富の文化的景観
(熊本県天草市)
・国の重要文化的景観に選定するよう文部科学大臣に答申された、和歌山県有田川町「あらぎ島」の変わりゆく風景!
和歌山県有田川町清水地区の蘭島(あらぎじま)は、「舌状の台地」をなしており、2~10aほどの大小の水田54枚が階段状の扇形に開かれています。この河岸段丘は高野山を源とする有田川の浸食がもたらしたものです。ここでは、江戸時代初期に開田され、稲作が行われてきました。
国道480号線から眺めると水田から吹き抜ける涼風が心地よく、四季それぞれに美しい景色が楽しめます。日々、とりどりの緑と背景が醸し出す色合いが織りなす景色は、残しておきたい和歌山の季節感です。
有田川町は、平成22年度から学術調査を進め、今年1月に文部科学省に選定を申し出ていたもので、文部科学大臣が今日開かれた国の文化審議会に選定すべきものとして答申しました。
有田川町は、「観光資源というだけでなく、歴史的、文化的価値が認められたということで、地域の誇りになる」と話していて、「今後は、地域の農林水産物の付加価値付けやさらなる観光振興につなげたい」としています。
国道480号線から眺めると水田から吹き抜ける涼風が心地よく、四季それぞれに美しい景色が楽しめます。日々、とりどりの緑と背景が醸し出す色合いが織りなす景色は、残しておきたい和歌山の季節感です。
有田川町は、平成22年度から学術調査を進め、今年1月に文部科学省に選定を申し出ていたもので、文部科学大臣が今日開かれた国の文化審議会に選定すべきものとして答申しました。
有田川町は、「観光資源というだけでなく、歴史的、文化的価値が認められたということで、地域の誇りになる」と話していて、「今後は、地域の農林水産物の付加価値付けやさらなる観光振興につなげたい」としています。
○「文化的景観・重要文化的景観」の国の窓口は、 文化庁文化財部記念物課 文化的景観部門
電話:03-5253-4111(内線3142)
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