「稲むらの火」は今年3月11日に発生した「東日本大震災」で改めて全国的に知られ、小学校の教科書にも採り上げられたこの逸話は、地元和歌山・広川町で記念行事が、和歌山市では「稲むらの火」シンポジュームが開催されました。
以下この様子をお伝えしましょう。
◎「津波防災の日」制定で催し
安政の南海地震が発生した11月5日(陰暦・今年は11月29日)は、ことしから「津波防災の日」と定められ、津波の教訓が伝わる広川町で記念の行事が行われました。
「津波防災の日」に定められた11月5日は、江戸時代末期の安政の南海地震が起きた日です。この地震では和歌山県広川町出身の商人、濱口梧陵が、津波が押し寄せた際、刈り取った稲むらに火をつけて村人に危険を知らせ、多くの人の命を救った「稲むらの火」の逸話で知られています。
濱口梧陵 |
「稲むらの火」の像 |
5日、広川町では「津波防災の日」の制定を記念して新たに建てられた石碑が披露され、和歌山県の仁坂知事らが植樹を行いました。
このあと濱口梧陵が地区に築いた津波対策の堤防の前で神職が祝詞を読み上げ、濱口の功績をたたえるとともに、津波で亡くなった人の霊を慰めました。
行事には地元の人たちおよそ200人が参加し、子どもたちは堤防の上に新しい土を盛って津波防災への思いを新たにしていました。
広村堤防に土を盛る生徒達 |
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◎「稲むらの火」シンポジウム
「津波防災の日」にあわせ、和歌山市では今後の防災のありかたなどについて考えるシンポジウムが開かれました。
シンポジウム11月5日の「津波防災の日」の制定の根拠となった、安政の南海地震の際に稲に火をつけ津波から村人を救った「稲むらの火」の逸話の教訓をいかしていくため和歌山県が開きました。
シンポジュームの参加者 |
濱口梧陵が築いた「広村堤防」 |
「稲むらの火祭」の松明 |
その上で「東日本大震災以降、津波への関心は高まっており、被害を受けやすい地区の高台への移転や防災教育の充実などに力を入れるべきだ」と訴えました。
また、東日本大震災による津波で大きな被害をうけた岩手県山田町の沼崎喜一町長が特別に招かれ、「津波で犠牲になった人は過去の津波で被害が小さかったことや新たに建設された防潮堤を過信した人が多い。町として訓練への参加や避難の呼びかけを指導しきれたのか悔やまれる」と振り返りました。
会場には市町村などの防災担当者や一般から300人余りが参加し講演に聞き入っていました。(5日・和歌山市内で NHKニュース報道より)
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