JR和歌山駅東側に広がる遺跡文化財を網羅したマップ「太田城水攻めと大規模弥生集落」(写真上)を和歌山市が発行した。遺跡が出土した現地に新設した案内板(同下)と一体となった地図で、市文化振興課は「太田城水攻めで有名なこの地域の歴史を知らない人には知ってもらい、興味のある人には深めてもらう助けになれば」と望む。
マップ発行 案内板14ヵ所設置
 同市は2012年から、市内各地の遺跡について発掘調査に基づいた案内板、パンフレットを製作してきた。この中で文化財が密集し発掘の成果が積み重なるエリアは、新たにマップに合わせて案内板を現地に設置し、町歩きや歴史学習につなげてもらおうと考えた。
 その第一弾が太田・黒田遺跡とその周辺。戦国時代、豊臣秀吉による太田城水攻めの地として有名だが、約2400年前の弥生時代前期から集落が形成され、いくつもの時代に渡る多様な出土品がある。これら発掘のあった14ヵ所に案内板を設け、マップにも解説と場所を記した。
 案内板の多くは、弥生時代の村としては珍しく銅鐸が発掘された黒田公園近くを始め、奈良時代の和同開珎や太田城の堀跡が見つかったポイントなどJR和歌山駅東近辺だが、鳴神にある古墳時代の用水路跡(音浦遺跡)まで盛り込んだ。同課の担当者は「太田城の堀跡など現地に立ってもらうと、昔の形跡がなくても歴史を思い描いてもらえると思います。学校で郷土学習にも活用してほしい」と話している。
 A3変形判4枚折り。無料。同課やJR和歌山駅で配布中